洛和会ヘルスケアシステムは毎月第3金曜日、はば広い地域の皆さまを対象に京都の市街地・四条烏丸で健康教室を開催しています。
7回目となる3月21日は、洛和会音羽病院消化器科医師の坂口徹太郎が「食べ物と健康〜いつまでも元気に〜」をテーマに講演しました。
「健康」とはいったいどんな状態をいうのでしょうか。もともと中国の「易経」にある「健体康心」という言葉で、体が健やかで、心が安らかな状態をいいます。つまり病気でない、だけではないんですね。
WHOでは心と体に加えて、社会的にも良好な状態、と定義しています。家庭生活でも、仕事や友人関係でも良好な状態が「健康」なのです。
いつまでも健康で、元気でいる。そのためにはどうしたらいいのでしょう。
当たり前のことですが、まず「病気にならない」ことです。それには、生活習慣病を予防し、仮に病気になっても、「元通りに元気になる」よう、常日頃から体力をつけておくことです。
★食べ物と生活習慣病
日本人の平均寿命は女性85.81歳で世界一、男性は第2位ですが、それでも79歳で、世界一健康な国民です。しかし、これは皆さんが食糧難の時代に苦労されたことと無縁ではなく、最近の飽食の時代、欧米化された食事を考えると、将来的には不安です。
死亡原因の上位を占める「がん」「心臓病」「脳卒中」は、かつて「三大成人病」とされ、加齢が大きな原因とされてきましたが、最近では、糖尿病や高血圧症などと同様に食生活などの生活習慣が大きく関わっていることがわかりました。
私たちは、口から食べ物をとり、これに含まれる物質を、消化、吸収、代謝など行って健康を維持しています。食べ過ぎたり、特定の栄養素のとり過ぎると、いわゆる生活習慣病やメタボリックシンドロームになるのです。
ブレスロー博士という方が7,000人を調査して7つの健康習慣を発表しています。
@ 適正な睡眠時間
A 喫煙をしない
B 適正体重を維持する
C 過度の飲酒をしない
D 定期的にかなり激しいスポーツをする
E 朝食を毎日食べる
F 間食をしない
「激しいスポーツ」は「?」ですが、半数を食習慣が占めているのです。
★日本人へのがん予防法
ここで「現状での日本人に推奨できるがん予防法」がありますので、紹介します。
@ たばこは吸わない。他人の煙も避ける。
A 適度な飲酒。(日本酒なら日本酒なら1合、ビールが大瓶1本まで、それ以上はリスクを伴います。飲めない人や飲まない人には勧めません)
B 食事は偏らず、バランスよく。(がんを予防する食品や栄養素は現状ではわかっていません。野菜、果物は毎日、少なくとも1日400グラム。熱い飲食物や保存・加工品も控えめに)
C 定期的な運動の継続。
D 成人期での体重の維持。
エネルギーの摂取過剰と運動不足は肥満のもと。ケーキ1個のカロリーを消化するのに、48分も歩く必要があります。
E 肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染があれば、治療する。
ともかく生活習慣病とは、「行きつけの飲み屋」みたいなものです。
いくら飲み食いしても、そのつど請求されませんが、付けを回された時は青くなるでしょう。日々の節制が重要です。