洛和会ヘルスケアシステムは毎月第3金曜日、幅広い地域の皆さまを対象に、京都の市街地・四条烏丸で健康教室を開催しています。
4月18日は、洛和会丸太町病院 整形外科の副院長 盛房周平が「転倒予防 〜寝たきりにならないために〜」をテーマに講演しました。
★骨は体を支える「柱」
健康な生活を送るには、わたしたちの体を支えるさまざまな筋肉、特にふくらはぎ・お尻・太ももの筋肉を鍛えるとともに、骨が丈夫でなければなりません。骨は家に例えると柱であり、骨組みです。
ところがその骨の量は、女性は50歳代の後半、男性も60歳代の後半からしだいに減っていきます。そして骨が粗くなり、スカスカになるのが骨粗しょう症です。先ほどの家の例でいえば梁(はり)も柱も弱った状態で、背中が曲がったり、背骨がつぶれたりします。背丈が縮むこともあります。
こんな状態の方がいったん転倒すれば、どこかを骨折することになります。骨折することが多いのは大腿骨や手首、腰などです。
年を取ってから骨折すると、治療を受けても治りが遅く、長く痛みが残ったり、日常生活に不自由を感じることがあります。そのことから精神的にストレスを受け、動くのがおっくうになり、寝たきり状態になってしまうケースが多いのです。認知症が進行することもあります。寝たきりにならないためには骨粗しょう症を予防し、転倒しないようにすることが大切です。
★骨粗しょう症を予防するには?
骨粗しょう症を予防し、転倒しない体を作るにはどうしたらいいのでしょうか。
骨粗しょう症の危険因子として、
- 年齢
- 閉経
- 偏った栄養
- 運動不足
- ステロイドの多用
- やせていること
- アルコールの飲みすぎ
- 喫煙
- 遺伝
などがあげられます。これらの危険因子をなるべく減らしましょう。
もちろん、年齢や遺伝など避けがたいものもありますが、飲酒や喫煙は自制し、カルシウムやりん、ビタミンDなどの栄養素を摂るように気を配りましょう。ひじきやおひたし、味噌汁といった昔ながらの食事がおすすめです。食塩や糖分、カフェインの摂りすぎにも注意しましょう。
骨粗しょう症の予防はもちろん、転倒しないためには適度な運動が欠かせません。ちょっと汗をかく程度に歩いたり、日常生活でなるべく動くことが重要です。整形外科やリハビリ科で教えている転倒予防体操もぜひやってみてください。継続して行うと効果的です。ただし、痛みを感じたり、体の調子の悪いときは無理をしないよう注意してください。
家の中には転倒しやすい場所があります。「ぬ・か・づけ」と覚えておきましょう。「ぬ」は濡れている場所、「か」は階段や段差、「づけ」は片付けていない部屋のことです。こういった場所を通るときには足元をよく見て歩くようにしてください。
骨粗しょう症と転倒に注意して、健康な生活を送りましょう。