洛和会ヘルスケアシステムは毎月第3金曜日、幅広い地域の皆さまを対象に、京都の市街地・四条烏丸で健康教室を開催しています。
5月16日は、洛和会音羽病院 総合診療科の医長 大岩 寛が「最近の関節リウマチ治療」をテーマに講演しました。
関節リウマチは関節に痛みや腫れなどの炎症が起きる病気です。40−50歳代の女性に多く、「手がむくむ、朝こわばる」「手足が痛い」といった症状で発症します。関節の炎症が続くと1〜2年で骨破壊が進むことが近年わかってきております。
この病気を診断するにはアメリカリウマチ学会の分類基準(1987年)を用いますが、近年ではMRIや抗CCP抗体を用い早期に診断をすることが提唱されています。当院でも積極的にこれらの検査を導入し、早期診断、早期治療を心がけております。
治療の前に患者さまの関節の状態、日常生活の不自由さを把握し、68の関節の状態を評価した上で治療に望むことが大切です。近年の治療の大きな進歩により、骨破壊を防ぎ、長期的なQOL(生活の質)を改善させることができるようになりました。
関節リウマチの治療は@鎮痛剤、Aステロイド、B抗リウマチ剤の三本柱からなります。鎮痛剤は胃を痛めるという副作用がありましたが、最近では胃にやさしい薬が開発されています。ステロイドは劇的に効くお薬ではありますが、長期的には感染症や骨粗しょう症などの副作用の問題があり、少しでも減らしていきたいお薬です。治療で最も大切なお薬は抗リウマチ剤です。このお薬には効くまでに時間がかかる、副作用が多いなどの欠点がありますが、メトトレキサート(MTX)は継続率が最もよく、標準的に用いられます。
近年、生物学的製剤が新たに登場し、関節リウマチの治療に革命をもたらしています。とくにTNFという関節リウマチにおける悪玉の物質を退治する治療法が開発され、この抗TNF阻害療法とMTXを併用することで骨破壊までも治していく可能性があることが分かっています。生物学的製剤には、費用が高い、重篤な副作用がある、全ての患者さまに使えるわけではないといった問題点がありますので、これらの薬を使いなれた医師のもとで治療を受けていただきたいと思います。