2008年06月24日

第10回らくわ健康教室「かゆい皮膚疾患の基礎知識」

洛和会ヘルスケアシステムは毎月第3金曜日、幅広い地域の皆さまを対象に、京都の市街地・四条烏丸で健康教室を開催しています。
6月20日は、洛和会音羽病院 皮膚科の部長 近藤摂子が「かゆい皮膚疾患の基礎知識」をテーマに講演しました。


皮膚疾患っていったい何でしょうか。診療所でよくある話ですが、「先生、これは皮膚病ですか? どっか、内臓が悪いんとちゃいまっか?」とおっしゃる患者さまがおられます。
皮膚は人体で一番大きな臓器です。外界と接触していますし、免疫反応とも深くかかわっています。そのため、肝臓病や腎臓病があるのと同じように、皮膚を主とする病気も数多くあります。
一方で「皮膚は内臓の鏡」というのも事実です。がんや代謝・内分泌疾患などとの関連で皮膚疾患が出ることもあります。自己判断で「内臓が悪いのではないか」と内科を受診される方もおられますが、皮膚疾患は複雑ですから、皮膚に異常があれば、まず皮膚科を受診されることをお勧めします。内科を受診する必要があれば私たちからご紹介します。

さて「かゆい皮膚病」には、じんましん、アトピー性皮膚炎などいろいろありますが、よくある皮膚疾患の症状と治療方法をお話します。
まず「じんましん」。特徴は、通常は1時間から数時間で消えることで、何日も続くものではありません。また、出たり消えたりします。よくアレルギー性と言われますが、実はアレルギー性は1割以下で、大半は非アレルギー性です。治療は内服治療が基本で、補助的にかゆみ止めの外用剤を使いますが、ステロイドの外用剤は使いません。
まれに、激しいかゆみとかいたあとの線状になった紅斑の症状でみえる方がおられますが、「シイタケ皮膚炎」といって、生や十分加熱してないシイタケを食べたあとに発症することがある病気です。アレルギーか中毒性かはわかっていませんが、知っておくといいと思います。
「アトピー性皮膚炎」は、患者さまの多くが、アトピー素因を持っています。そして、乾燥しやすかったり、ちょっとした刺激でかゆくなりやすい皮膚の持ち主に多い疾患です。
「老人性乾皮症」「老人性掻痒症」「皮脂欠乏性湿疹」は皮脂が減って、乾燥しやすくなって、かゆみがでます。特に高齢者に多いのですが、最近では、生活様式の変化で若い人にも増えています。
治療はアトピー性皮膚炎も含め、ステロイド剤などで炎症の抑制を行いますが、乾燥しやすくなりますので、保湿を中心としたスキンケアが大事です。入浴するときは洗い過ぎない、こすらないこと。それと、かいていては治りませんので、かゆみのコントロールをします。
ダニや毛虫などによる皮膚炎もかゆい疾患です。「虫はムシできません」というわけですが、1年前の虫さされがまだ治らないというケースもありますから、早めの治療が重要です。今の時期は毛虫が増えているのでご用心。
このほか、いわゆる「かぶれ」といわれる「接触性皮膚炎」、薬でおきる「薬疹」などもあります。
Rakuwazentai_2 湿疹・皮膚炎の治療には、基本的にステロイド外用剤を使用します。炎症が強ければ、ステロイド剤の内服薬で治療することもあります。ステロイド外用剤については、全身的な副作用や副腎の萎縮など恐怖を持たれる方もいますが、私たち医師の指導のもとで正しく使えば問題はありません。また、かゆみのコントロールには抗アレルギー剤、ステロイド剤での治療に伴う乾燥には保湿剤を使います。
かゆい皮膚病の話をしてきましたが「かゆくない水虫」にもご注意ください。実はかゆい水虫は10人に1人で、かゆくないからと放っておくと、どんどん悪化してしまいます。治療は外用薬で行い、足裏、指の間全部に塗り続けることがポイントです。治ったようにみえても実は治っていないので、ひと月は続ける必要があります。
最後に高齢者の「疥癬(かいせん)」患者の増加が問題になっています。疥癬はヒトヒゼンダニという虫が人の皮膚に卵を産み、特有の湿疹と激しいかゆみがある感染症です。人と人の接触でうつるので、家族に感染者が出たときは家庭全体で退治しなくてはいけませんし、特に高齢者の施設での感染には気をつけていただきたいと思います。ヒトヒゼンダニは人の体を離れると長くは生きられないので、衣類など洗えるものは洗い、洗いにくい物はつるして連日着用しないこと、シーツは定期的に替えることなどが大事です。 

ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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