2009年01月21日

第17回らくわ健康教室「緩和ケアを知っていますか?」

洛和会ヘルスケアシステムは毎月第3金曜日、幅広い地域の皆さまを対象に、京都の市街地・四条烏丸で健康教室を開催しています。
1月16日は、洛和会音羽記念病院 緩和ケア科 部長の川上 明(かわかみ あきら)が「緩和ケアを知っていますか?」をテーマに講演しました。


Rakuwakenko0901a_2 「緩和ケア」についてまだ知らない人も多いし、「入ったら、帰してもらえない?」「死ぬための場所?」などの誤解や偏見もあります。今日はそんな誤解を正しながら、私たち洛和会音羽記念病院の緩和ケア科でどんなことをやっているかをお話しします。

緩和ケアとは
実はWHO(世界保健機構)でも1990年には緩和ケアを「病気の治癒を目指した治療がもはや有効でなくなった患者に対する積極的な全人的ケア」と定義していました。これが2002年に「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、疾患の早期より痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアル(霊的な、魂の)問題に関して・・・クオリティー・オブ・ライフ(生活の質、生命の質)を改善するためのアプローチ」などと、大きく変わりました。
つまりガンの方だけが緩和ケアの対象ではありませんし(現在の法律ではガンとエイズの方だけが対象ですが)、家族も緩和ケアの対象に加わりますし、病気の早期の段階から緩和ケアは始まります。
「緩和ケアとホスピスってどう違うの?」とよく言われますが、今ではほぼ同じ意味で使われています。ホスピスの語源はラテン語の「hospitium」で「客を温かくもてなす場所」という意味があります。「緩和ケア」「ホスピス」とは「病院などの施設や設備を意味するのでなく、最期まで充実した生を送れるようさまざまな痛み(身体、社会的、精神的、霊的な痛み)を緩和し、患者さんが亡くなられた後、その遺族のケアまでみていこうという哲学的理念と実践の総称」です。

緩和ケアへの誤解
Rakuwakenko0901b これらのことからも分かるように、緩和ケア=終末期(目の前の死)というのは間違いであり、「死に場所で、最期の場所らしい」と思われている方もいるかもしれませんが、そのようなことはありません。治すことを目的とした一般病院でも沢山の人たちが亡くなっています。洛和会音羽記念病院の死亡退院率は70%で、他のホスピスと比べても低い割合です。ホスピス緩和ケアは残された最後の時間を家族とともに、大切に生きる場所なのです。
「入ったら、帰してもらえないらしい」ともいわれますが在宅・転院移行率は、洛和会音羽記念病院の場合30%です。症状のコントロールができれば、家に戻ることや治療を再開することも可能です。また、ご家族に、たまには看病から離れ、休養していただくためのレスパイト入院とうものもあります。
「何もしてくれないらしい」と思っている方もいますが、しないのはガンに対する治療だけです。通常の投薬や点滴などは行いますし、日常生活援助などのケアは一般病棟より手厚いですし、なにより心のケア・家族のケアも行うことが最大の特徴です。
このほか「入院費がとても高いらしい」「特別な人しか入れないらしい」などの話がありますが、すべて偏見と誤解です。

緩和ケア病棟と一般病棟の違い
一般病棟でもいろんな痛み、特に身体的な苦痛の緩和はある程度おこなっています。では、精神的・社会的なものは? スピリチュアルなものは? いかがでしょうか。
緩和ケア病棟と一般病棟との一番の大きな違いは「患者さまが、生きる意味・価値の次元を含めて、自分の力で自分らしい在り方を見い出してゆく手伝い」を行うことです。患者さんとのコミュニケーションを通じてスピリチュアルペインをケアすることです。
一般病院の医療者は病気をしっかり捉えますが、緩和ケアの医療者は心を捉えるのです。
一般病院は肉体的生命を大事にしますが、緩和ケアは精神的、文化的、社会的生命を大事にします。つまり、緩和ケア病棟は症状を緩和するとともに、できる限り日常生活を過ごす場所なのです。

ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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