2009年08月11日

BCGワクチン

〜結核 年に2万人以上が感染〜

洛和会音羽病院 小児科
副部長 徳永 千恵美 (とくなが ちえみ) 

ミイラからも結核が?

結核はもともと牛の病気でした。牛を家畜として飼うようになった紀元前6000年ごろ、結核にかかった牛の乳を飲んだ人が感染したのが、人間と結核のかかわりの始めだそうです。その後、結核菌は人の体に適応するよう進化し、かかった人の咳や痰から空気中に飛び散った結核菌を吸い込むことで人から人にうつる伝染病となりました。古くはエジプトのミイラの背骨に結核の痕が残っていますし、日本には弥生時代に大陸から持ちこまれたようです。そして今でも国内で毎年2万人以上の人が発病している最大の感染症であり、最近では20歳代の人気お笑い芸人が発病したことは記憶に新しいですね。

予防接種は1日で済みます

0908tokunaga_3 結核予防のためのBCGワクチンは、約90年前に牛の結核菌を人に対してなるべく無害なかたちにして、生きたまま身体のなかに入れて抵抗力をつける生ワクチンとして使われ始めました。開発当初のヨーロッパでは飲むワクチンでしたが、現在日本ではこれを腕に塗り、9個の針が付いた管を2回押し付ける方法(管針法、ハンコ注射)をとっています。実はこの管針法は接種個所での副作用が軽くすむのですが、なぜか日本以外の国ではほぼ行われていません。

以前は、ツベルクリン反応という結核菌感染の有無を調べる検査をし、陰性の人にだけBCGワクチン接種を行っていましたが、2005年からはツベルクリン反応を受けることなく、3〜6カ月の赤ちゃん全員に直接BCGワクチンを接種する方法に変わりました。これで、数日を要していたBCGワクチン接種が1日で済むようになり、より受けやすくなったのです。

どんなに医学が進歩しても予防に勝る治療法はありません。わが国では、いまだ多数の結核患者を抱えています。未来を担う赤ちゃんたちを結核から守るため、生後3カ月になったら忘れずにBCGワクチンを受けさせ、結核への抵抗力をつけておくようにしましょう。

 

【BCGワクチン接種について】

定期接種
生後3〜6カ月の乳児のBCGワクチン接種は、お住まいの市町村の保健所などで無料で受けられます。接種を行う場所、日時は市町村によって異なります。お住まいの市町村の広報などで確認し、適切な時期に受けてください。

任意接種
生後6カ月までにBCGワクチン接種を受けられなかったときは、近くの小児科でご相談ください。

<お問い合わせ・ご予約>
洛和会音羽病院 小児科
TEL 075(593)4111(代)

洛和会音羽病院 予約センター
フリーダイヤル 0120(489)300


0908otomarukun (『おとまるクン』2009年8月号より)
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