2010年04月22日

第3回らくわ健康教室「おしっこのことで悩んでませんか?〜膀胱と前立腺の病気について〜」

4月16日は、洛和会丸太町病院 泌尿器科 副部長の兼光 紀幸(かねみつ のりゆき)医師が「おしっこのことで悩んでませんか」をテーマに講演、「困ったり、血尿がでたら、大事になる前に受診してください」と呼びかけました。今回も満員の盛況で、皆さま熱心に聴講されていました。


 

100416kanemitsu おしっこの異常

(1) 回数の異常
頻尿(おしっこが近い)や、尿意減少(おしっこの回数が少ない)といった症状があります。

(2)排尿痛
排尿に際して、尿道や膀胱部に灼熱感・疼痛を伴います。尿道炎や膀胱炎など尿路感染の特徴です。

(3)排尿困難
正常な排尿は、特に努力することもなく太い尿線で勢いよく排尿され、短時間で終了しますが、そうでない場合を排尿困難といいます。
排尿困難の中には、前立腺の病気の症状である「おしっこが近い」「線が細い」「出始めから出終わりに時間がかかる」――などの症状がみられることもあります。

(4)尿閉
膀胱内の尿を排出できないことをいいます。

(5)尿失禁
切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁など、意思と関係なく尿が出てしまうことをいいます。

(6)二段排尿
排尿したあとで、また尿意を覚えて、再びかなりの量を排尿することをいいます。膀胱憩室に特徴的な症状です。

(7)尿線中絶
排尿途中で、意識しないのに突然止まることをいいます。体位を変えるとまた再開します。膀胱結石や膀胱腫瘍の時に起こることがあります。

排尿障害を訴えるおもな疾患

(1)過活動膀胱
「がまんできない」という尿意の切迫感を必須とした症状症候群で、(夜間)頻尿を伴います。神経因性と非神経因性がありますが、実際に一番多いのは、原因が不明のものです。これに伴う尿失禁を切迫性尿失禁といいます。
治療としては、膀胱訓練などの行動療法や薬物療法を行います。

(2)腹圧性尿失禁
咳やくしゃみで漏れてしまうもので、出産や加齢、肥満などが原因です。骨盤底筋体操や外科的手術が有効です。

(3)前立腺肥大症
膀胱の下にある前立腺が肥大し、尿道を圧迫することによって、排尿障害になるものです。はっきりした原因は不明ですが、加齢と男性ホルモンの影響があるのは確かなようです。薬物療法や、手術療法を行います。

前立腺といえばPSA検査も忘れずに

PSA検査とは、血液検査のひとつで、前立腺がんや前立腺肥大症などの時に増える「前立腺特異抗原(PSA)」というタンパク質を調べます。PSA高値が出た場合は、必ず泌尿器科専門医を受診するようにしてください。

血尿

血尿に伴う他の症状の有無によって症候性血尿、無症候性血尿などを分類しますが、無症候性肉眼的血尿は膀胱がんなど尿路上皮がんの初期症状としてもっとも多いものです。
痛くもなく、前触れもなく、突然真っ赤なおしっこが出たら、それは無症候性血尿かもしれません。その後持続して血尿が出なくても、必ず専門医を受診してください。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

 

カテゴリー:らくわ健康教室 | 更新情報をチェックする