2010年07月12日

第15回らくわ健康教室「本当は怖い足の傷〜壊疽(えそ)のおはなし〜」

7月9日は、洛和会音羽病院 創傷治癒センター 部長の松原 邦彦(まつばら くにひこ)が、壊疽などの治りにくい足の傷について、原因や治療・予防法について講演しました。
洛和会音羽病院は近く「創傷治癒センター」をスタートさせる予定です。このような専門科を持つ病院が少ないこともあり、患者さまから期待されています。


100709matsubara 講演の要旨は以下の通りです。

「壊疽」というのは、壊死に陥った部分が腐敗またはミイラ化した状態を指し、足に生じることが多いです。
もともと足の傷は、 心臓から遠い  むくみやすい  手入れしにくい−−−などの理由で、治りにくいものです。

壊疽を引き起こす3つの原因

動脈硬化症
コレステロール等によって全身の血管が細くなり、血液の流れが悪くなる病気です。足の血管が細くなると、まず冷感・しびれ・痛みなどを感じるようになり、さらに悪化すると足の先から壊死が始まります。心筋梗塞や脳梗塞に似た状態で、「足梗塞」と言ってもいいでしょう。薬物治療、血行再建などが行われますが、進行すれば足を切断することになってしまいます。
日常のケアは足を締め付けないことが大切で、少し足を下げている方が楽です。

糖尿病
糖尿病は、神経障害による足変形、知覚低下、血管障害による壊疽、免疫低下による感染症などを起こす危険性が高く、治りにくい傷の原因となります。日本では最近、重症の方が増えており、シャルコー足のような重度の変形が今後増えることが懸念されます。
糖尿病性壊疽は時に急激に悪化します。痛みが少なくむしろ足が温かい場合に多く、治療に難渋します。まずは糖尿病をコントロールし、血管や傷の治療、そして必要に応じて装具作成、リハビリなどを行います。多くの専門家によるチーム医療が必要な分野です。

静脈瘤
静脈瘤とは、静脈の逆流防止弁が壊れ、慢性的に足の静脈が逆流して血液がたまってしまう状態です。立ち仕事をする中高年の女性に多く見られます。静脈瘤を放置すると徐々に皮膚炎が起きて皮膚が硬くなり、傷ができると非常に治りにくいです。弾性ストッキングによる圧迫、立ち仕事を避けることなど、生活に踏み込んだ注意が必要です。静脈瘤の治療と傷の治療の双方を適切に行う必要があります。

靴の話

「幅広くやわらかい靴がいい」という誤解はありませんか。靴にはゆがんだ足を矯正する効果があります。また傷がある方には、患部の除圧をするためのインソール(中敷き)も必要になります。
正しい靴を選ぶには、シューフィッターのいる靴店で相談するのがよいです。洛和会音羽病院 創傷治癒センターでは、装具外来を併設し、足に傷のある患者さまに必要な治療用の靴や装具を提供したいと思います。

足の手入れ

  • 視力低下のある方は自分でツメを切らないでください。ツメ専用のやすりをお勧めします。
  • うおの目にスピール膏を貼って化膿してしまう方がいます。骨髄炎に至る例があり、注意が必要です。
  • 血行を良くするためのマッサージも、やりすぎると組織を傷つけ、壊疽の原因となることがあります。
  • 糖尿病性神経障害のある方は、靴擦れ、低温熱傷に注意してください。靴下の縫い目、靴の中の小石から傷をつくる方もおられます。傷を発見しやすいよう、白色の靴下を履きましょう。

治りにくい足の傷をケアし、切断に至らないための治療を行う専門外来を立ち上げる予定です。よろしくお願いします。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

 

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