洛和会音羽病院 母子センター 所長 島川 哲郎(しまかわ てつろう)
通常のかぜは飛沫感染(ひまつかんせん)によって引き起こされますが、夏かぜウィルスは手から手へ、手から口へと感染するケースが多くみられます。子どもに夏かぜが多いのは、それらに対する抗体(免疫)を持っていないからですが、手を口に入れやすいことなども原因として挙げられます。この季節は食中毒も発生しやすいためこまめに手洗い、うがいをすることが大切です。
子どもが感染しやすい夏かぜの代表を3つとりあげます。(もちろん、大人にも感染することがあります。)
咽頭結膜炎
通称「プール熱」、原因はアデノウィルスです。39度程度の高熱が3〜5日続いて、のどと眼球結膜が充血する症状がみられます。また、プールに入らなければ大丈夫というわけではなく、タオルからなど、日常生活のなかで感染することもあります。 ヘルパンギーナ
コクサッキーA群ウィルスが原因です。主な症状は、高熱とのどにできる小さな潰瘍(かいよう)による痛みです。特にのどの痛みはつばも飲み込めないほどで、食事をとるのも苦痛になります。ツルッとしてのどにしみないもの(うどん、おかゆ、ゼリーなど)を与えてあげましょう。また、脱水症状にならないよう、こまめに水分をとることも大切です。 手足口病
コクサッキーウィルスA16型、エンテロウィルス71型などによって起こります。手のひらや足底、口などに痛みのない水疱ができます。指からひじ、足からおしりのあたりまで発疹が出ることがありますが、熱はほとんど出ません。一般的に経過は比較的軽く、3〜5日で治ります。 注意を要する合併症
一般的に、夏かぜは冬のインフルエンザのように重症化することは少ないのですが、まれに、髄膜炎、脳炎、心筋炎、肺炎などを合併することがあります。
いったん下がった熱が再び高くなる、嘔吐(おうと)、頭痛、けいれん、激しい咳などの症状がみられるときは早めに医療機関を受診してください。
夏かぜをひかないために
夏かぜをひいてしまう背景には、夏バテにも深いかかわりがあります。
- 暑さによって食欲が落ちる
- クーラーによって体が冷えて自律神経のバランスが崩れる
- 睡眠不足からストレスがたまる
それらが重なりあって夏バテになり、免疫力が低下します。免疫力を低下させないためには、普段から栄養のバランスがとれた食事を心掛け、1日3食規則正しく食事をとることが大切です。特に夏は水分が不足しがちになるので水分補給も忘れずに。
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(『おとまるクン』2010年7月号より)
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