2010年07月27日

第17回らくわ健康教室「黄疸が出たとき〜膵臓・胆道の病気 がんの立場から〜」

7月23日は、洛和会音羽病院 肝胆膵外科 部長の小野山裕彦(おのやま ひろひこ)が、黄疸の症状をともなうさまざまな病気について、原因や治療法について講演しました。猛暑の中にもかかわらず、満員の盛況で、皆さま熱心に聴いておられました。


講演の要旨は以下の通りです。

そもそも黄疸って何でしょう?

100723onoyama黄疸(おうだん)は、身体にビリルビンが過剰にあることで眼や皮膚が黄色くなる状態です。
ビリルビンは古くなった赤血球が壊れてできる成分のひとつです。肝臓の働きが悪いとビリルビンを肝臓で処理する力が弱くなり、ビリルビンが胆汁や腸管に出て行きます。
胆道での胆汁の流れが妨げられて起こる黄疸を「閉塞性黄疸」といい、この場合は外科での治療が必要になります。

閉塞性黄疸の症状

閉塞性黄疸の場合は次の3つの症状が現れます。

  • 全身のかゆみ(直接ビリルビンの作用)
  • 尿が濃い(黄疸尿)
  • 大便が真っ白(灰白便)

閉塞性黄疸の検査と治療

検査としては腹部超音波検査や胆管造影検査、CT検査などを行います。
3週間も黄疸が続くと肝臓が傷むので、治療ではまずは黄疸をとる必要があります。よく行われるのは次の2つの治療です。

経皮経肝胆道ドレナージ術(PTBD)
ドレナージチューブと呼ばれる細い管を、体の表面から肝臓を経て胆道まで入れ、流れの滞った胆汁を体外に排出します。
内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD)
ドレナージチューブを鼻から十二指腸を通して胆道まで入れ、流れの滞った胆汁を体外に排出します。

閉塞性黄疸の原因

閉塞性黄疸の原因となる病気のなかで、良性のものとしては、胆石症、膵臓の病気があげられます。また、手術の影響でも起こります。悪性のものとしては、胆道や膵臓などのがんがあげられます。

黄疸を引き起こす病気の中でも、「急性胆管炎」は要注意です。
胆管結石症で、「黄疸・発熱・腹痛」のあるものは恐ろしく、胆道感染から敗血症、全身臓器障害へと進行する危険がありますので、すぐに受診してください。

<本日のまとめ>

黄疸のなかで、胆管閉塞による閉塞性黄疸は外科的治療の適応となる場合が多くあります。
良性疾患が原因の黄疸では、内視鏡を使った治療で対処できる場合もしばしばみられます。
悪性疾患が原因の黄疸では、胆道・膵臓のがん、あるいは胃がんが転移した場合などがあります。悪性疾患の術後の生存率は改善の方向にあり、抗がん剤も進歩していますので、あきらめないでいただきたいと思います。おかしい、と思ったときはすぐに受診してください。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録33

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