8月20日は、洛和会音羽病院 脳神経センター所長の岡本 新一郎(おかもと しんいちろう)が、脳腫瘍のさまざまな症状とその原因、治療法について講演しました。
この日も相変わらずの猛暑日でしたが、講師が「暑さにめげず、こんなにたくさん来ていただいて」と述べるほど、会場は満員で、熱気一杯の講演会となりました。
講演の要旨は以下の通りです。
脳腫瘍とは?
脳腫瘍とは、正確には「頭蓋内腫瘍」といって、頭蓋骨のなかにできる腫瘍です。
脳と神経の基礎知識
頭蓋の中には、中枢神経としての脳、抹消神経としての脳神経があり、脳神経は、見る、臭う、聞くなどの働きがあります。
脊椎の中には、中枢神経としての脊髄、抹消神経としての脊髄神経があり、手や足の働きなどとも大きく関連しています。
頭蓋骨の中は、脳だけでなく、神経、脳を包む膜、血管など、その他もろもろあります。
脳腫瘍は、頭蓋骨の中にできる腫瘍で、(1)脳そのものからできる腫瘍 (2)脳を包む膜からできる腫瘍 (3)神経を包む膜からできる腫瘍など、さまざまな腫瘍があります。
脳腫瘍のさまざまな症状
(1)頭の中の圧力が高くなっておこる症状
● 頭が痛い
● 目がかすむ
● ぼけてきた
● 吐き気がする など
(2)脳や脳神経が圧迫されて、働きが悪くなっておこる症状
● 目が見えにくい
● 耳が聞こえにくい
● 飲み込みにくい、むせる
● ぼけてきた
● 歩きにくい など
(3) 腫瘍から余分なホルモンが出てきておこる症状
これは、ホルモンの種類によって症状が異なります。
● プロラクチンにより、生理が止まったり、お乳が出たりする
● 成長ホルモンにより、手足の指が太くなったり、背が高くなったりする
● 副腎皮質ホルモンにより、顔がはれたり、血圧が高くなったりする
脳腫瘍の治療法
良性脳腫瘍は、主に手術で治療しますが、場合によってガンマナイフなど放射線治療を行うこともあります。症状がなく腫瘍が小さい場合は、経過観察することもあります。悪性脳腫瘍は、手術に加えて化学療法や放射線治療など、いくつかの治療法を組み合わせて治療します。
まとめ
脳腫瘍、とくに良性脳腫瘍の症状はさまざまです。
最初の症状によって、眼科、耳鼻科、整形外科など脳神経外科以外の医師に相談することがほとんどでしょう。ですが、それらの診療科で 「特に異常はありません」「どうもないよ」といわれた場合でも、一度は脳神経外科の医師に相談してみましょう。
正しい診断を受けるにはMRIなどの精密検査が必要です。