2010年10月15日

第25回らくわ健康教室「小児外科医に聞いてみよう〜こどもによくある病気〜」

9月24日は、洛和会音羽病院 小児外科部長の楯川 幸弘(たてかわ ゆきひろ)が、「敬老の日スペシャル」として、小児外科で診療する、子どもの病気について講演しました。聴講者は、お孫さんの健康を願いながら、熱心に聴いておられました。


100924rakuwa 講演の要旨は次の通りです。

小児外科というと、聞きなれない方もいると思いますが、日本小児外科学会は1964年に設立され、16歳未満小児の外科的疾患の診療にあたっている外科系専門診療科です。
よく見られる小児外科疾患の症状と気をつけていただく点を述べます。

鼠径(そけい)ヘルニア
[症状]
かん頓といって、腸管や卵巣が飛び出してもどらなくなる状態で、不機嫌になり、泣きます。鼠径部(そけいぶ)が腫れて触ると痛がります。お腹が張ってきて嘔吐をしたり、グタッとして元気がなくなります。
[治療]
さらに時間がたつと、腸管が血行障害をおこして腐ってしまいます。こうなると、腹膜炎がおこり、緊急手術が必要です。1歳までは、自然治癒することもありますが、かん頓を繰り返す場合は早期に手術が必要です。

陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)
[症状]
陰のうに水がたまる病気で、同時にヘルニアになっていることもあります。
[治療]
1歳以上になっても、大きさに変化がみられないようであれば、小学校に入学する前に手術をすすめます。

停留精巣(睾丸)
[症状]
精巣の下降が不十分で、精巣が途中で止まっている状態です。
[治療]
精巣は1歳を過ぎると、自然下降がほとんど期待できません。精巣は高温環境にさらされると、不妊の原因になると考えられ、停留精巣では、悪性腫瘍ができやすいともいわれます。1歳から、1歳6カ月までに、精巣固定術を行うのが望ましいと考えています。

遊走精巣(移動性精巣)
[症状]
精巣を陰嚢底まで引きおろせるが、刺激で、あがりやすいものをいいます。
[治療]
症状が強い場合は、精巣機能温存の意味から手術を考えますが、多くは手術適応ではありません。

包茎
[症状]
真性包茎と仮性包茎があります。真性包茎の場合、包皮口が極端に狭く、排尿障害を起こすことがあります。後ろに圧力がかかり、腎臓に影響することも。無理やり皮をむこうとして、元に戻らなくなるかん頓包茎になることも。
[治療]
かん頓包茎は血液のめぐりが悪くなるので、すぐに治療をする必要があります。仮性包茎の大部分は自然に治りますし、最近では、手術しなくてもステロイド治療で治ることもあります。しかし、思春期以降は、手術を考えたほうがいいでしょう。

臍(へそ)ヘルニア
[症状]
へその緒が縮んでいく過程で、筋肉がくっつかずに、穴ができ、そこから腸が飛び出した状態です。
[治療]
1歳までに95%は自然に治ります。1歳を過ぎると、穴が自然に閉じることはありません。

肛門周囲膿瘍、乳児痔ろう
[症状]
肛門の周りが赤くはれて痛がり、膿が出ます。
[治療]
最初に腫れたときは、早めに医療機関を受診し、切開を受けて膿をだします。

虫垂炎
[症状]
虫垂内部がなんらかの原因で詰まってしまい、二次的に細菌感染を併発したものです。大人でも、子どもでも、診断が難しい病気です。
典型的な症状としては次のように進行します。

    1. 上腹部の不快感
    1. 右下腹部がズキズキと痛む
    1. 食欲不振・吐き気・嘔吐・発熱
    1. 虫垂の壁に穴があくと腹膜炎に

子どもは、虫垂の壁に穴があきやすく、腹膜炎を起こしやすいことが特徴です。また、発熱がない場合や、白血球の増加がない場合も多く、診断に注意を要します。
[治療]
以前はお腹を切り開く手術を行っていましたが、近年では、小さな穴を3カ所開けて行う腹腔鏡下手術が多くなり、体への負担が少なくなりました。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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