10月1日は、洛和会京都血管内治療センター部長で、洛和会丸太町病院 心臓内科部長の浜中一郎(はまなか いちろう)が、動脈硬化などによる心筋梗塞や脳梗塞などについて講演、原因や予防法をわかりやすく解説しました。血管の老化という身近なテーマとあって、会場は満員でした。
講演の要旨は以下の通りです。
「ヒトは血管とともに老いる」
外見は元気そうな人が、ある日突然心筋梗塞や脳梗塞を起こし、時には亡くなってしまうのは、人は中(血管)から老いるからです。つまり、身体のすみずみまで栄養を行き届かせている動脈が、本来はしなやかなのに、弾力を失って、最後はカチカチに硬くなったり、内部にさまざまな物質が沈着して、血管の通り道が狭くなったり(狭窄)、詰まったり(閉塞)するからです。
動脈硬化の進行による病気
急性心筋梗塞
アナウンサーの徳光和夫さんは、心筋梗塞の経験を「自覚症状がなく、突然やってきた。原因は高いコレステロールなのに、なぜ早く治療しなかったか、反省している。コレステロールを甘く見ないで」と話しています。
その通り、この種の病気は1〜2年の単位で起きるのではなく、5年、10年と何年もかかって硬化が進行し、ある日突然、発症します。
高齢者だけでなく、50代、60代に多い病気で、「自分だけは大丈夫!」と思っている人にも襲いかかります。何とか心臓が動いている状態で、病院にきていただければ、大半は助かります。
脳梗塞
閉塞性動脈硬化症
全身の血管のどこででも起こりますが、特に下肢で多く起こります。
下肢血管が閉塞すると、冷感、しびれ、しばらく歩くと足がだるくなる、じっとしても足がだるく痛い、足の先が黒くなってくるといった症状が現れます。
動脈硬化を治すには?
動脈硬化を治すお薬は残念ながらありませんが、進行を遅らせることはできます。
- 危険因子(ストレス、喫煙、肥満、脂質異常症)をなくす。
- バランスのとれた食生活を心がける。
- 適度な運動、有酸素運動を行う。
- ストレスのない日々を送る。
目の前で人が倒れたら…
予期しない突然の病死「突然死」で亡くなる人は年間5万人いるといわれます。
このうち心臓突然死の原因は、急性心筋梗塞、狭心症、心筋症などで、心臓が停止する直接の原因は心室細動という致死性不整脈がほとんどです。
救急車が到着するまでに、適正な心肺蘇生、AEDを使用すれば、救命率が数倍も高くなります。普段から、心肺蘇生法の講習を受ける機会を逃さないようにしましょう。