10月22日は、二条駅前クリニック院長の田端義久(たばた よしひさ)が、新たな国民病といわれる慢性腎臓病と、もうひとつの国民病・糖尿病の、症状や予防・治療法について講演しました。この日も満員の盛況で、皆さま熱心に聴いておられました。
講演の要旨は以下の通りです。
新たな国民病・・・慢性腎臓病(CKD)とは?
慢性腎臓病(CKD)とは、聞きなれない病名でしょうが、現在、日本の推定患者数は1330万人(20歳以上の成人で8人に1人が患者)、といわれています。2006年には「日本慢性腎臓病対策協議会」が設立されました。
「IgA腎症、糖尿病性腎症、腎硬化症などの原疾患にかかわらず、尿蛋白などの存在を示す所見がある、もしくは中等度以上の腎機能低下のいずれかが、3ヵ月以上持続する」場合、CKDと判断します。ひと言で言えば、「腎臓の働きが慢性的に低下していく病気」です。病期・ステージは、5段階で示します。
CKDの原因疾患には、慢性腎炎、
糖尿病性腎症(かなりの勢いで伸びており、透析に入る人の5割近い)、
腎硬化症、があります。診断・検査としては、尿検査や血液検査、画像診断を行います。
CKDは、初期症状として自覚症状はほとんどなく、健康診断や他の検査で見つかることが多い病気です。進行するにつれ、むくみ、貧血、息切れ、倦怠感などが現れます。
CKDの進行予防と治療
CKDの進行を予防するには、日々の生活習慣の改善、薬物治療などを行います。症状が進行した場合には、人工透析や腎移植も行います。
気をつけたい生活習慣
- 喫煙・・・さまざまな病気の危険因子でもあります。まずは禁煙を。
- 飲酒・・・過度の飲酒は、腎臓病の危険因子です。
- 運動不足
- 不規則な生活
- その他・・・食塩の取りすぎはいけません。1日6グラム未満にしましょう。
CKDの発症・進行をおさえる生活習慣は、メタボリック・シンドロームと共通しています。これらの生活習慣を改善すれば、CKDをはじめ、さまざまな病気の予防に繋がります。
糖尿病
糖尿病患者は、2007年の統計で、2200万人いると推定されています。実に国民の4人に1人です。本人が気づいていないケースもあり、治療を受けているのは3〜4割でしょう。
糖尿病は血液中の血糖が高いということから、全身の血管を通してすべての臓器に影響をあたえることになり、死亡原因上位の病気のほとんどにからんでいます。最近は若い人にも多くみられます。
初期は症状がなく、サイレントキラーともいわれます。治療では薬をきちんと飲むことが重要です。