10月29日は、洛和会音羽病院のリハビリテーション科部長の田中 尚(たなか ひさし)が、今注目されている、がんのリハビリについて講演。特に診療前から始めるリハビリについて紹介しました。この日は、第9回洛和メディカルフェスティバルのスペシャル版として開かれ、引き続き、特別講師として、フリープロデューサーで元吉本興業常務取締役の木村政雄氏が「これからの人生を、健康にワクワク、ええ感じに生き抜く秘訣」と題して講演しました。
田中医師の講演要旨は次の通りです。
今、がんの診療、がんのリハビリテーションが注目されています。なぜでしょうか? リハビリでは何をするのでしょうか? リハビリ科とは? などについて、お話しします。
がんはわが国の死因の第1位で、年間30万人以上が、がんで亡くなり、生涯のうちにがんにかかる人は、男性の2人に1人、女性の3人に1人で、「3人に1人が、がんで死亡している」と推測されています。
がん対策基本法成立(平成18年6月)
基本的施策の中に、「がん患者の療養生活での質を維持向上する」が規定されました。「がんと向き合って、正しく治療することで、生活の質を向上し、保つ」ということです。
これに基づき、平成22年4月の診療報酬改定で、「がんのリハビリ」が新設され(これまではがんのリハビリはありませんでした)、治療前、あるいは治療後早期からリハビリを行うことで、身体の機能低下を最小限に抑え、早期回復を目指すことになりました。
がん手術後の合併症や機能障害
がん手術後の合併症や機能障害には次のようなものがあります。
- 食欲低下、筋力低下など
- 痛みによる活動性の低下
- 術後などの深部静脈血栓症
- むくみ
- 精神的不安、抑うつ状態など
リハビリの種類
このような合併症や機能障害に対し、それぞれのがんの障害にあわせて、次のようなリハビリを行います。
- 呼吸リハビリ
- 嚥下・発声リハビリ
- 手・足リハビリ
- 高次脳リハビリ
治療前からはじめる!がんのリハビリテーション
治療前に、リハビリテーション医の診察、リハビリテーションスタッフによる評価や訓練を行います。治療後に起こると予想される症状・障害について説明します。これにより、治療後の合併症や症状の早期発見、早期対応が可能です。
事前に訓練法などの方針がわかっているので、患者さまの不安も軽減されます。