11月5日は、洛和会丸太町病院 CE部 臨床工学技士の塩田 裕啓(しおた やすひろ)が、下肢の動脈硬化が原因で起こる「閉塞性動脈硬化症(ASO)」について、症状や治療法などを、わかりやすく講演しました。心臓内科で診察するという意外な展開に、皆さん興味深く聴いておられました。
塩田技士の講演要旨は次の通りです。
足が痛くなる原因
足が痛くなる原因には、まず、骨や関節の病気 神経の病気 があり、これは整形外科が中心となって診療します。さらに、動脈硬化が原因で起こる病気もあり、これは心臓内科が中心となって診療します。
動脈硬化について
動脈硬化とは、血管(動脈)が硬くなることです。「粥腫(じゅくしゅ)」という脂のかたまりが血管内にできることにより、血管が狭くなって、血液が流れにくくなり、組織が腐ることもあります。
動脈硬化を起こしやすい部位は、頸部・心臓・腕の付け根・腎臓などの動脈ですが、下肢(足)も動脈硬化になりやすい部位のひとつです。
閉塞性動脈硬化症(ASO)
下肢が動脈硬化症になると、血流が悪化し、さまざまな症状が現れます。これを「閉塞性動脈硬化症(ASO)」といいます。
<ASOの症状>
- 冷感・しびれ感
- 間歇性跛行(かんけつせいはこう):
数百メートル歩くとふくらはぎ等が締め付けられるように痛くなり、少し休むと治まることです。 - 安静時疼痛:
じっとしていても痛みます。 - 潰瘍・壊死:
組織が腐ってきます。
こういった症状に心あたりがあれば、ぜひ「心臓内科」で診察を受けてください。
診察と検査の流れ
- 問診、視診:
症状や生活習慣について確認するとともに、足の状態を見せてもらいます。 - 触診:
足の甲、くるぶしの下、ひざの裏などの脈をはかります - 上腕足関節血圧比(ABI):
腕と足の血圧を同時に測って、血管の動脈硬化の程度をみます。 - 超音波検査(エコー検査):
超音波をあてて血管のつまりや血流を観察します。
治療方法
症状や検査結果に応じて患者さまと相談しながら、以下のような治療を進めていきます。
- 運動療法:
1回30分程度の運動を1日2回、毎日行います。寒い日は屋内で行いましょう。 - 薬による治療
- 血行再建術:
バイパス手術やカテーテル治療(風船やステントで血管を押し広げる治療)です。
日常生活の注意点
- バランスのよい食事をとる。塩分の取りすぎに注意する。
- 適度な運動を行う
- 禁煙
- ストレスの解消
- 足を清潔に保つ
- くつ下をはく、足にあった靴をはく
- 長時間の正座は避ける
- 症状のある場合、早めに心臓内科を受診する
- 動脈硬化になりやすい方(例:高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙者など)は定期的に検査を受ける
協力
洛和会CEセンター 塩田 裕啓、羽田野 かおり、羽生 真耶、久下 真洋、疋田 健、佐々木 義憲
洛和会京都血管内治療センター・心臓内科 富士榮 博昭、小山田 尚史、井田 円、浜中 一郎、 上田 欽造