2010年11月25日

完治する時代を信じて

洛和会音羽病院 神経内科 医員 木下 智晴(きのした  ともはる)

1011dr 趣味といえるかわかりませんが、家庭電化製品の性能を調べて比較するのが好きです。自宅のパソコンは10年来、パーツを組んで自作しています。父が技術職で、はんだ付けまでできましたから、うちでは修理のために電気屋さんを呼んだことがなかったんです。何でも父が分解修理する姿を見て育ち、自然にパソコンも自作するようになりました。自分が家庭をもった今、家電製品は精密になって父のように何でも修理するわけにはいきませんが、購入する際に性能を調べるのは好きです。
脳と神経を扱う神経内科に私が進んだのは、大学3年生の解剖実習で初めて実物の脳に接し、その存在感に圧倒されたのが一因です。もちろん心臓も肝臓もあらゆる臓器がかけがえのないものですが、何十年もの間、その人の思い出や生活、歴史を刻んできた脳は、特別な臓器と思えました。例えば、ある人の肝臓を私に移植したとしても、私は私です。でも、その人の脳を私に移植すれば、私は私とは言い切れなくなってしまう、体のなかでも唯一無二の臓器だと感じます。
脳神経の病気は残念ながら完治が難しいことも、脳神経に惹かれた理由の1つです。近年、解明が進み、画期的な治療法が開発されたほかの臓器や部位に比べ、未知の部分が多く残されています。だからこそ、完治する時代が必ずきてほしいという希望があります。
パソコンのようには簡単に分解、組み立てのできない人間の脳ですが、今後の発展を信じて、日々診療に当たっています。


1011otomarukun (『おとまるクン』2010年11月号より)
「おとまるクン」は患者さま・利用者さま向けの広報誌です。健康管理や病気の治療に関する解説を中心に、医療・介護施設の紹介やイベント情報などを掲載しており、毎月1日に発行しています。
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