11月19日(金)は、洛和会音羽病院 皮膚科医師の佐藤 真美(さとう まみ)が、さまざまな脱毛のなかから、男性型脱毛症と円形脱毛症の診断法や治療法について講演しました。
成人の特に男性に薄毛を気にしている人が多いと言われており、この日の会場にはいつもより男性が多いようでした。
佐藤医師の講演要旨は次の通りです。
男性型脱毛症
男性型脱毛症(AGA)は、病気とは違い、ホルモンの変化でおきるものです。ある種個性の1つともとらえることもありますが、気になるものでもあります。
1.診断の目安
- 抜け毛の開始時期が思春期以降である
- 特徴的脱毛パターンを示す
(生え際の後退、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなる) - 毛髪の軟毛化
- 親や兄弟にも多い
2.男性型脱毛症とDHT
DHT(ジヒドロテストステロン)がAGAの原因物質です。脱毛部の組織に高濃度に分布し、その働きで、硬毛が軟毛化します。
3.治療薬について
◎フィナステリド(商品名プロペシア)<保険診療ではありません>
欧米をはじめ、世界約60カ国で使用されているAGAの治療薬です。日本では2005年に承認されています。抜け毛の原因物質であるDHTの産生を抑制する効果があります。
プロペシアの特徴は1日1回の服用でよく、食事の影響を受けないことです。
副作用については、国内の臨床試験で性欲減退、胃部不快感、下痢などの報告があります。肝機能にも注意を払います。
◎外用薬(ミノキシジル外用薬、商品名、リアップ)
もともと血圧降下剤として開発されていたものですが、多毛の副作用があり、外用育毛剤に転用されました。
円形脱毛症
円形脱毛症は、類円形の脱毛斑を突然生じる疾患です。頭部だけでなく、まゆ毛やまつ毛など、毛髪が存在するあらゆる部位に生じます。
原因にはストレス説や遺伝説などさまざまありますが、「自己免疫疾患」というのが、有力です。
洛和会音羽病院の治療指針
軽症の場合はステロイド外用薬を使った治療を行います。
ステロイド外用薬が効かなかったり、脱毛が広範囲に及ぶ場合は、局所免疫療法や紫外線療法をおこなっています。さらに、近赤外線による星状神経節照射を行うこともあります。
いちど治療に取り組んでみませんか? 工夫次第で、広範囲・難治とされる患者さまでも、かなりの成果をあげています。