11月26日は、洛和会音羽病院 麻酔科・歯科麻酔科 部長の井本 真帆(いもと まほ)が、手術などでの「麻酔」について講演しました。麻酔といえば、 世界で最初に麻酔手術を行った華岡青洲が有名ですが、最近は、麻酔科医師が主役のテレビドラマが登場、注目されています。井本部長は、こうした話題を取り入れながら、麻酔科医の役割と、麻酔の安全性と重要性を説明しました。
井本医師の講演要旨は次の通りです。
麻酔科医の話題
有吉佐和子さんの小説『華岡青洲の妻』では、実母と妻を実験台に、二人を犠牲にしながら、チョウセンアサガオやトリカブトを原料にした全身麻酔薬「通仙散」を完成、手術を行いました。世界最古の全身麻酔手術とされています。(実際は、親戚一同が協力したといわれています)
1990年代の渡辺淳一さんの小説『麻酔』はテレビドラマ化されました。医療過誤がテーマで、ドラマ放映後「全身麻酔が怖い」「麻酔がさめなかったら、どうしよう」などの心配が寄せられました。
しかし、「全身麻酔では起こらない事故」であり、麻酔科医がいれば安全です。当時、麻酔科医は迷惑したものです。
その後も「医龍」「チーム・バチスタの栄光」「風のガーデン」など、麻酔科医が話題になっています。
全身麻酔とは
- 呼吸管理を行う(気管挿管・ラリンジアルマスクなどによる気道確保)
- 意識の消失(吸入麻酔薬、静脈麻酔薬など)
- 不動化(筋弛緩薬)
- 鎮痛
- 循環管理(循環作動薬による血圧、脈拍の安定)
などで安全を期しています。
麻酔科医は
- 使用する薬剤は毒薬、劇薬が多く含まれます。
- 多くの道具・器械を駆使して、手術中の患者さまの命を守ります。
- そのために、「患者さまの情報」が必要です。
そのために、手術を受ける前には
- 多くの検査を行います。
- 今までかかった病気や、受けた手術などの情報は大変重要です。
- 現在使用しているお薬やサプリメントも知る必要があります。
- 糖尿病、高血圧、狭心症、アレルギーなどは特に重要な基礎疾患です。
- 日常の生活の様子も必要です。
手術前の麻酔科診療
- 麻酔に必要な情報は大変多いですが、診療時間は限られています。
- 事前に情報を整理しておくと、スムーズにすすみます。
- 洛和会音羽病院では、麻酔の説明書をお渡しし、麻酔前調査票で情報収集をしています。