肺がんは、がん死亡率の第1位、最大のリスクファクターは喫煙
洛和会音羽病院 呼吸器科 部長 榎堀 徹(えのきぼり とおる)
2005(平成17)年、がんの部位別罹患(りかん)率の順位は、男性では胃がん、肺がん、大腸がん、女性では、乳がんをトップに肺がんが4位であり、男女ともに増加傾向にあります。
ところが、疾患別の死亡率をみると、肺がんが全体の死亡原因の第1位で、男性では第1位、女性で第2位となっています。日本における肺がん死亡率は今後、ますます増え続け、2020年には13万人を超えると予測されています。
肺がんは1年間に罹患した患者さまのうち、82.4%が死亡してしまうがん(ほかのがんでは、乳がん:27.0%、大腸がん:38.4%、胃がん:48.7%)で、多くは進行がんとして発見され、治療が非常に困難な病気です。
肺がんによる死亡率は、1950年代から世界的に増加してきましたが、男性に関しては、イギリスやアメリカなど一部の国では減少傾向に転じてきています。その原因は、欧米における禁煙対策の成果が出ているからだと予想されます。すなわち、肺がんの最大のリスクファクターは喫煙です。
検診や他疾患治療中に偶然発見される早期の肺がんから、まひ、けいれんなどの脳転移、腰痛など骨転移が初発症状として発見されるものも多く、発見時に進行がんであることが多いことも治療後の経過が良くない原因の1つです。肺がんの治療のカギは、喫煙、受動喫煙の防止と早期発見のための検診(X線検査・撮影、CT、喀痰〔かくたん〕細胞診)にあるといえます。
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( 『おとまるクン』2011年1月号より)
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