今年第2回の健康教室は1月21日、洛和会音羽病院薬剤部 主席課長で薬剤師の佐原 敏之(さはら としゆき)が、がんの薬物療法について、薬の種類や副作用などについてわかりやすく講演、「今は、ムリせず、我慢せず、個々にあったがんの薬物療法を受けられる時代です」と説明しました。
佐原講師の講演要旨は次の通りです。
がんの薬物療法は
- 進行・再発がんに対する治療や、がんの増殖や転移を阻止する
- 術後の再発を予防する
- 手術前にがんを小さくする
などのために行います。
がん薬物療法に使う薬はいろいろあり、治療の効果や安全性、がんの進行の程度に応じた最適の治療を行っています。
- 従来から使われてきた抗がん剤で、細胞の分裂・増殖を妨げるなどの働きがあり、例えるなら「広範囲なじゅうたん爆撃」のような薬
- がん細胞が増えるための指令自体を阻害するなど、いわば「ピンポイントのミサイル攻撃」の薬
- ホルモンの供給を抑えるなど、「経済制裁」のような薬
があります。
その副作用はいろいろありますが、副作用を避ける薬も多岐にわたっており、副作用を避けやすくなっています。
抗がん剤の副作用をなくすことはできませんが、症状を軽くすることはできます。「支持療法」といって、入院が必要になるような重い副作用を防いだり、副作用の慢性化を防ぐ目的で使用する薬がいろいろあります。安心して治療を受けてください。
がんに関係する痛みもいろいろあります。
- がん自体が原因となる痛み
- がんの治療による痛み
- 全身の衰弱や寝たきりによる筋肉痛などのがんに関連した痛み
などがあります。
痛みを避ける薬も多岐にわたります。
- 医療用麻薬を使い続けると、麻薬中毒になりませんか?
- 使い続けると、命を縮めませんか?
などの質問がありますが、決してそのようなことはありませんので、安心して治療を受けてください。
正しく痛みを伝えて、早く痛みから解放されることが重要です。
「がんに効く」とうたわれる成分による民間療法と、がん薬物療法は『似て非なるもの』です。明確に区別することが重要です。