洛和会音羽病院 呼吸器科 部長 榎堀 徹(えのきぼり とおる)
〜肺がんの確定診断と病期に適した標準治療を〜
肺がんは、生物学的特徴から「小細胞がん」と「非小細胞がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなど)」に分類されており、非小細胞がんが肺がんの約85%を占めます。
肺がんの診断には胸部X線検査、特に胸部CT検査による画像診断が重要です(しかし、胸部X線検査では、確認できないがんがあることを知っておくことが必要です)。
肺がんが疑われた場合は、確定診断(組織診断)をつけるために組織の生検※を行います。その方法として、喀痰(かくたん)細胞診、気管支鏡検査、CTガイド下肺生検などがありますが、小さい腫瘍は手術時に初めて診断されることがあります。
肺がんの確定診断がつくと、次に病巣の広がりや、転移の有無を調べる検査を行います。胸部、腹部のCT検査(リンパ節転移、肝、副腎転移など)、脳のMRI検査(脳転移)、骨シンチグラフィー(骨転移)などが行われます。
本年9月開設予定の洛和会音羽病院の新棟で行うことができるPET−CT検査は、画像診断ではありますが、腫瘍が良性か悪性かを診断することに役立ち、一度でほぼ全身の検査を行うことができます。
これらの検査が行われると、肺がんの臨床病期(IからIV期)が確定し、病期に適した標準治療が選択されます。病期I、II期では手術、III期の一部では手術(+化学療法)、それ以外のIII期は化学療法+放射線療法、IV期および再発例では化学療法を行います。肺がん組織の遺伝子検査でEGFR(上皮成長因子)の遺伝子変異のある場合は分子標的治療薬が選択されます。
原則として前述の治療が選択されますが、年齢、肺機能、治療効果、副作用によって治療法は適宜変更され、さまざまな治療法を組み合わせて行う「集学的治療」を行います。
※生検…細胞や組織を採取し、顕微鏡などで調べる検査
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−次回は「肺がんの治療法(2)」の予定です。
(『おとまるクン』2011年2月号より)
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