2011年02月24日

第41回らくわ健康教室「花粉症から身を守るために! 〜その対策と治療〜」

2月18日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 耳鼻咽喉科医長で、医師の足立 有希(あだち ゆき)が、いまや、日本人の4人に1人、成人の3人に1人が苦しんでいるといわれる花粉症の「対策と治療」について講演しました。今年は昨年に比べ、スギ花粉の飛散量が多いといわれており、皆さん熱心に聴講していました。


足立講師の講演要旨は次の通りです。

Adachidr 花粉症とは、花粉によるアレルギーの総称で、原因としては、春のスギやヒノキ、夏のカモガヤ、秋のブタクサ、ヨモギなど、数多く有ります。このうち、スギは風に乗って遠くまで飛び、いろんな症状が現れ、花粉症の代表となっています。

どのくらいの人がなっているの?

スギ花粉は1998年からの10年で、16.2%から、26.5%になり、急激に増加しています。ほかの花粉や通年性アレルギー性鼻炎の増加は5%程度です。 

花粉症の人が急増したわけは?

  • 花粉量の増加(戦後植林されたスギが、花粉を飛ばす樹齢30年以上になっている)
  • 大気汚染
  • 地面のコンクリート化(花粉が、土の地面に吸収されなくなった)
  • 住環境の都市化(ちりやダニが発生しやすい)
  • 食生活の変化(高タンパク質食で、過敏体質に)

などです。
睡眠や学力、労働生産性に悪影響を及ぼしているというデータもあります。

鼻は頑張っています!

鼻には加温、加湿、浄化機能があります。冷気を吸い込んでも、肺は凍りません。
鼻から入った花粉は、ほとんど鼻に沈着し、下気道(肺)には入りません。

どのようにして症状がでるの?

鼻水、くしゃみはヒスタミン、鼻詰まりは主にロイコトリエンという化学伝達物質が関与し、症状がでます。

治療

治療薬は原因・症状にあわせて

  •  抗ヒスタミン薬
  •  抗ロイコトリエン薬
  •  抗トロンボキサン薬
  •  ステロイド点鼻薬、内服薬

などがあります。

初期療法
開始時期は花粉飛散日、または症状が少しでも現れた時点での内服開始が有効です。
目安は、飛散予測日の1〜2週間前くらいです。

手術
下鼻甲介レーザー焼灼(しょうしゃく)術
粘膜下下鼻甲介骨切除術・後鼻神経切除術があります。

根治療法をめざす免疫療法(減感作療法)や薬物を使わない方法(サーモライザー局所温熱療法、鼻洗など)もあります。

対策

  1. 部屋の換気は早朝か夜に。
  2. 空気清浄機を上手に活用。
  3. ふとんや、洗濯物の乾燥はできれば、室内で。
  4. 掃除はこまめに。
  5. 外出時は帽子をかぶり、髪の毛に花粉がつかないように。眼鏡、マスクも忘れずに。
  6. 花粉がつきにくい服を。
  7. 帰宅したら、家の中に花粉を持ち込まないよう、服を払う。
  8. 手洗い、うがい、洗顔。
  9. ストレスをためない。
  10. 十分な睡眠。
  11. お酒はほどほどに。
  12. バランスのよい食事を。
  13. 運動を積極的に。

最後に
今年は、スギ花粉だけでなく、ヒノキ花粉の飛散量も多くなると予想されます。スギ花粉症の患者の多くはヒノキ花粉にも反応するので、ご注意を。
花粉飛散量が多くなると、これまで花粉症でなかった人も発症することがあります。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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