3月18日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 総合診療科医師の西澤 徹(にしざわ とおる)が、テレビなどのマスコミで宣伝され、皆さんの関心が高い「健康食品」について講演しました。例えば「がんを予防するサプリメントはあるのか? ないのか?」…。結論は「賛否両論あって、微妙。いずれの健康食品も、まず、必ず主治医に相談することが一番大切」だそうです。
西澤講師の講演要旨は次の通りです。
健康食品・サプリメントは、薬事法に基づく「医薬品」ではなく、食品衛生法に基づく「食品」です。さまざまな健康食品が注目を集めていますが、今日は病気を入り口に、食品との付き合い方をお話します。
がんと健康食品
2005年のがんによる死亡者数は32万5941人で、2015年には日本人の3人に2人はがんにかかり、2人に1人はがんで死亡するという統計があります。
そして、がんに対する健康食品類の研究は多数されており、賛否さまざまな意見があります。
食物関連因子とがん
食物関連因子とがんをみて見ると次のようなものがあります。
危険性を減らすもの
- 確実: 運動(大腸がんに対して)
- 可能性が大いにある: 野菜、フルーツ(食道、胃がんなどに対して)
- 可能性はあるが、データ不足: 食物繊維、大豆、魚など
危険性を増やすもの
- 確実: 肥満、飲酒など
- 可能性が大いにある: ハムなどの貯蔵肉、塩蔵品など
- 可能性はあるが、データ不足: 植物性脂肪など
論文にみる予防効果
世界各国の権威ある論文には、予防効果を支持するもの、否定的なもののほか、中間的な意見もあります。
支持
- 週に4回以上マルチビタミンを服用する人は、大腸がんの危険性を下げる。
- 食物繊維の摂取量が多いほど、大腸がんの発生率が低かった。
否定的
- 食物繊維の摂取量が多いほど、大腸がんの発生率が低い、には疑問あり。
- 緑茶の消費と胃がん発症の危険性には関係が認められない。
アルツハイマー病、糖尿病と健康食品
アルツハイマー病、糖尿病、変形性膝関節症などと健康食品の関係についても、がん同様にさまざまな意見があります。
健康食品を摂取するうえでの注意事項
- あくまでも健康食品は補助であり主体は通常の診療ですので通常
の診療の中断をしないでください。 - 科学的根拠は随時変更されることがありますのでご注意ください。
- (もし使用されるのであれば)成分表示があり、消費者相談室のある会社のものがよいでしょう。
結論として、必ず、主治医に相談してください。
内服薬との飲み合わせ、含有物の他疾患への影響も考慮する必要があります。
文献に科学的根拠が記されていても、本人に有効かどうか、副作用の可能性について評価をもらってください。
健康食品は薬品ではないので、データがほとんどない場合があります。
成分表示があり、消費者相談室のある会社のものがいいでしょう。