2011年03月25日

第45回らくわ健康教室「健康食品との上手なつきあい方」

3月18日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 総合診療科医師の西澤 徹(にしざわ とおる)が、テレビなどのマスコミで宣伝され、皆さんの関心が高い「健康食品」について講演しました。例えば「がんを予防するサプリメントはあるのか? ないのか?」…。結論は「賛否両論あって、微妙。いずれの健康食品も、まず、必ず主治医に相談することが一番大切」だそうです。


Nishizawa 西澤講師の講演要旨は次の通りです。

健康食品・サプリメントは、薬事法に基づく「医薬品」ではなく、食品衛生法に基づく「食品」です。さまざまな健康食品が注目を集めていますが、今日は病気を入り口に、食品との付き合い方をお話します。

がんと健康食品
2005年のがんによる死亡者数は32万5941人で、2015年には日本人の3人に2人はがんにかかり、2人に1人はがんで死亡するという統計があります。
そして、がんに対する健康食品類の研究は多数されており、賛否さまざまな意見があります。

食物関連因子とがん
食物関連因子とがんをみて見ると次のようなものがあります。

危険性を減らすもの

  • 確実: 運動(大腸がんに対して)
  • 可能性が大いにある: 野菜、フルーツ(食道、胃がんなどに対して)
  • 可能性はあるが、データ不足: 食物繊維、大豆、魚など

危険性を増やすもの

  • 確実: 肥満、飲酒など
  • 可能性が大いにある: ハムなどの貯蔵肉、塩蔵品など
  • 可能性はあるが、データ不足: 植物性脂肪など

論文にみる予防効果
世界各国の権威ある論文には、予防効果を支持するもの、否定的なもののほか、中間的な意見もあります。

支持

  • 週に4回以上マルチビタミンを服用する人は、大腸がんの危険性を下げる。
  • 食物繊維の摂取量が多いほど、大腸がんの発生率が低かった。

否定的

  • 食物繊維の摂取量が多いほど、大腸がんの発生率が低い、には疑問あり。
  • 緑茶の消費と胃がん発症の危険性には関係が認められない。

アルツハイマー病、糖尿病と健康食品
アルツハイマー病、糖尿病、変形性膝関節症などと健康食品の関係についても、がん同様にさまざまな意見があります。

健康食品を摂取するうえでの注意事項

  • あくまでも健康食品は補助であり主体は通常の診療ですので通常
    の診療の中断をしないでください。
  • 科学的根拠は随時変更されることがありますのでご注意ください。
  • (もし使用されるのであれば)成分表示があり、消費者相談室のある会社のものがよいでしょう。

結論として、必ず、主治医に相談してください。
内服薬との飲み合わせ、含有物の他疾患への影響も考慮する必要があります。
文献に科学的根拠が記されていても、本人に有効かどうか、副作用の可能性について評価をもらってください。
健康食品は薬品ではないので、データがほとんどない場合があります。
成分表示があり、消費者相談室のある会社のものがいいでしょう。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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