4月15日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 部長で、医師の荒木 倫利(あらき みちとし)が、のどの「がん」について講演しました。「のど」といっても、脳や脊髄、眼窩内を除く、顔面頭蓋から頸部全体が対象で、喉頭、上咽頭、中咽頭、下咽頭など、さまざまな部位に腫瘍ができることと、それぞれの症状や治療法について詳しく説明しました。最後に「発がん要因の大半は酒とたばこ」と警告しました。
頭頸部がん(口腔がん、上顎洞がん、喉頭がん、甲状腺がんなど)の、全がんに占める割合は約5%で、その特徴は
- 聴覚、平衡覚、臭覚、味覚などの感覚器に絡んでいる
- 呼吸、発声、摂食、嚥下など密接に絡んでいる
- 狭いところに色々な組織があり、余裕がない
- 露出部分が多いため、比較的外部から見ることができる
- 放射線治療が、比較的効果をあげる腫瘍が多い
などがあります。
上咽頭がん
症状:
- 耳閉感、難聴、耳鳴り
- 鼻詰まり、鼻血を繰り返す
- 複視などの脳神経症状
- 頸部リンパ節腫脹など
治療:手術は難しい。抗がん剤や放射線治療がよく効きます。
中咽頭がん
症状:
- 食べ物がしみるなど、口腔内の痛み
- 初期には症状がないこともある
- 症状が出ていても、所見がはっきりしないことがある
- 頸部リンパ節が腫脹
治療:初期の場合は、切除手術、あるいは放射線治療。進行がんの場合は、化学療法なども行う。
下咽頭がん
症状:
- 初期症状がほとんどない
- のどの異物感、飲み込む時のひっかかり感
- 進行が進むと呼吸困難も
喉頭がん
症状:
- かすれ声が特徴
- 声門上がんや、声門下がんには症状がないことがある
- 呼吸困難感も
発がん要因は
「酒とたばこ」に尽きます。しかも、双方の相乗効果もあり、両方を嗜む人の危険は、グンと高まります。