1980年代後半になると、前立腺特異抗原(PSA)という前立腺がんに特異的な腫瘍マーカーが開発され、前立腺がんの早期発見に大きく寄与するようになってきました。
PSAの腫瘍マーカー検査は、血液検査で簡単に行うことができる検査で、基準値は4.0ng/ミリリットル以下となっています。4.0〜10.0ng/ミリリットルを特に「グレーゾーン」と呼んでおり、この段階で精密検査をした場合、がんが見つかる可能性は20%程度で、早期がんである確立が高い状態です。
以上のことからわかるのは、PSAが基準値を超えているからといって、直ちにがんがあるとはいえないということです。PSA自体は、年齢とともに上昇する傾向があり、良性の前立腺肥大症や、前立腺に炎症があっても上昇します。PSA検査は、一般的には50歳以上の方に推奨されますが、身内に前立腺がんにかかった人がいる場合は、特に検査を受けることをお勧めします。
PSAで異常があった場合、診断を確定するためには前立腺針生検を行う必要があります。これは、超音波で前立腺を観察しながら細い針で前立腺の組織を採取し、がんの有無を調べる検査です。
そのほかの診断方法としてはMRIが有用です。MRI出現当初は、画像の解像度も悪く、撮影に長時間を要していましたが、最近の高性能な装置では、画像の質も良くなり、さまざまな撮像法が試みられるようになり、診断の精度は上がっています。
【広報誌「おとまるクン」の最新記事】