5月10日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 救急・総合診療科 副部長で、医師の植西 憲達(うえにし のりみち)が、関節リウマチの原因や予防、治療方法について講演。最近では「早期に診断、治療して、寛解(かんかい)といわれる、ほぼ治癒した状態までに持っていける場合が多くなった。」と強調しました。
植西講師の講演要旨は次の通りです。
関節リウマチとは
全身(特に手)の関節に痛みと腫れがあり、進行すると、関節が破壊され、日常生活が不自由になります。治療は簡単ではありませんが、ここ10〜20年の間で薬で進行を止め、「寛解」という治ったような状態まで治療できる場合が多くなりました。
関節リウマチの症状
さまざまな(ほとんどすべての)関節が侵されます。
全身疾患でもあり、発熱や食欲不振などの全身症状、心肺などにも炎症が起きることがあります。進行すると、関節と骨が破壊され、車いすの生活になることも。早い段階で食い止めることが重要です。
関節リウマチはなぜ起こる?
原因はよくわかっていません。
性別、生まれつきの素因、環境因子が関わっているなどさまざまな要因があります。
いろいろな病気と同様に、喫煙も大きな危険因子です。
関節リウマチは早期診断・早期治療の時代へ
(発症2年間の進行が最も速いので、破壊が進む前の強力な治療が重要です)
1987(昭和62)年に作られた関節リウマチの診断法の分類基準では、早期診断には限界がありましたが、2010(平成22)年に米国、欧州の合同学会で、早期診断のための基準が作られ、世界的にも早期診断、そして早期治療を行うという流れとなっています。
関節リウマチの治療 −寛解をめざして−
- 痛みの改善
- 骨・関節の破壊防止
- 最終的にはほぼ治った状態をめざします
そのためには、早期治療が重要です。
リウマチを火事に例えると、ぼやのうちに消火するのが効果的であり、できれば半年以内、遅くても2年以内に十分な治療を行わないと、全焼(関節が破壊されて、取り返しがつかない状態)してしまいます。
治療の流れは
- 早期診断と早期治療
- こまめなチェック【1〜3カ月ごとに活動性<火の勢い>をチェック】
- 目標は寛解か低活動性
- 痛み止めと抗リウマチ薬<消火器>は効果が出るまで早いうちに十分に
- 3カ月経過後も活動性が高い場合は、生物学的製剤<消防車>を併用
リウマチの薬は一生続けなければならないのでしょうか?
早期にしっかり治療した場合、20〜30%の方が薬剤不要になります。ただし約半数は1〜4年間、薬剤を必要とすることがわかっています。もっと長期に薬が不要な状態が続けられるかはわかっていません。