2011年06月14日

第54回らくわ健康教室「盲腸? 脱腸? 痔ってどんなもの?」

6月3日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 外科・消化器センター 医長で、医師の得居 将文(とくい まさふみ)が、盲腸や痔などの原因や予防法、対処方法などについて講演しました。いずれも身近な病気ですが、知っているようで意外に知らない部分もあり、参加された方々は熱心に聴講していました。


P_tokui 得居講師の講演要旨は次の通りです。

急性虫垂炎について
一般的にいわれている「盲腸」は、正式には「急性虫垂炎」と言います。

  • 虫垂炎とは?
    虫垂内部が何らかの原因で詰まってしまい、細菌感染を併発(化膿)した状態です。詰まる原因は、腸の内容物(糞便の塊)が多いようです。
    好発年齢は6〜30歳ですが、全年齢層にみられ、特に男女差はありません。
  • 虫垂の役目は?
    虫垂にはリンパ濾胞(ろほう)が発達していて、体を守る働きをしているのではないかといわれています。
  • 症状
    典型的な症状としては、上腹部の不快感から始まって、次第に、右下腹部がズキズキと痛み始めます。時間が経つに伴い、嘔吐、発熱、食欲不振などが出現します。
    炎症が高度になり、虫垂の壁に孔があくと、腹膜炎を起こし、ズキズキする痛みが、お腹全体に広がります。
  • 緊急時の対応
    自覚症状で、虫垂炎を疑うときは、何も食べないで、医療機関を受診してください。
    (緊急手術の可能性もあり、胃内容物があると、麻酔をかけにくいためです。これは、虫垂炎だけでなく、一般的にも言えます)
  • 予防
    かかる人がみんな不摂生というわけではありませんが、暴飲暴食、過労、かぜ、便秘などが考えられますので、まずは規則正しい生活を心掛けてください。

鼠径(そけい)ヘルニアについて
俗に脱腸といわれますが、ある程度の年齢(40〜50歳代以降)から発生頻度が多くなります。股の付け根の部分に生じてくる出っ張りを自覚します。

  • 注意点
    脱出したまま戻らず、痛みが増してきたときや、腫れがひどくなってきたときは、要注意です。嵌頓(かんとん)といって、元に戻らない状態が考えられ、腸閉塞が起こったり、腸が腐ったり(壊死)して、命にも関わります。すぐに医療機関を受診してください。
  • 標準治療
    歩行可能な方には、基本的に手術を勧めます。
  • 予防法
    残念ながら、予防法はありません。なお、通販などで出回っている「ヘルニアバンド」などは、医学的にはお勧めできません
    つまり、鼠径ヘルニアとわかったら、早期の手術治療がお勧めであり、最善の方法です。

痔についての注意・予防

痔核や裂肛は生活習慣病の1つです。肛門管に炎症を起こす主な原因は次のとおりです。

  1. 排便異常
  2. 疲れ
  3. ストレス
  4. 体の冷え
  5. 飲酒
  6. 座りっぱなし、立ちっぱなし
  7. 妊娠と出産

大事な注意点
おしりから出血している、または便に血が付着している原因は痔である場合が多いのですが、まれに大腸がんの場合もあるので、大腸の検査(大腸カメラ)を勧めています。


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