8月20日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 京都口腔健康センター 主席係長で、 歯科衛生士の村田 恵美(むらた えみ)が口腔ケアについて講演。口の健康を守るための具体的なケアを紹介しました。
村田講師の講演要旨は次のとおりです。
お口の働き
口は、表情をつくる、物を噛み砕く、物を飲み込む、コミュニケーションをとるなどさまざまな働きがあります。
特に、食物を食べるというのは生命維持をしていくうえで、大切な役割です。物を噛み吸収するには、歯だけがあってもできません。首や肩の筋肉を維持させることも大切です。
歯を失う原因
歯を失う原因の第1位は歯周病。第2位は虫歯で約80%を占めます。
あなたのお口は大丈夫ですか?
セルフチェックをしてみましょう
- 歯茎が赤く腫れてブヨブヨしていませんか?
- 歯茎がムズムズして浮いた感じがしませんか?
- 歯磨きをすると血が出ませんか?
- 朝、起きた時に口の中がネバネバしていませんか?
- 歯がグラグラしていませんか?
- 食べかすが残っていませんか?
- 口臭はありませんか?
- 入れ歯の具合はいかがですか?
お口の中は細菌がいっぱい
約300種類の細菌が口腔内にいます。
善玉菌と悪玉菌のバランスが保たれていると歯周病にかかることはありません。
デンタルプラークとは
- ねばねばした膜で歯の表面にくっついている
- 成分のほとんどが細菌・・・1mgの中に1億〜数千億個の細菌が生息している
- この膜は薬物で取ることができない・・・歯ブラシで引っかき取るしかない
歯周病は全身をむしばみます!
歯周病は、
- 脳梗塞
- 動脈硬化
- 感染性心内膜炎
- 心筋梗塞
- 糖尿病の悪化
- 誤嚥(ごえん)性肺炎
- 早産、低体重児出産
などと関係があるといわれています。
2種類の口腔ケア
器質的口腔ケア
お口のなかを清潔にすること・・・つまり歯磨きです。
機能的口腔ケア
噛む、飲み込むなど口腔機能を守ること
・・・つまり口まわりなどの筋肉のトレーニングです。
器質的口腔ケア
歯ブラシ選びのチェックポイント
「磨いている」と「磨けている」は、別のものです
ブラシ部分は、
- 2本の指の幅より小さめ
- 丸い毛先
- ナイロン製
- やわらかめのもの
持ち手は太く、握りやすいもので、ネックの部分は角度がなく、直線のものを選んでください。
歯ブラシの持ち方
親指、人差し指、中指の3本を使い、鉛筆と同じ持ち方で。
歯ブラシの当て方
- 歯に対して毛先は45度〜90度に当てる
- 毛先の形が変わらない程度の力加減で
- 歯と歯茎の境目が大切
歯ブラシの動かし方は
- 歯2本分程度の幅で動かす
- 細かく振動させる
- 力は入れない
磨き残しをなくすために
- 磨き残しやすい場所を知る
- 磨く順番を決める
- 歯の形を目で確認し、意識する。
そのほか、歯間ブラシなど口腔ケアグッズを使用することもお勧めです。
義歯の取り扱い
- 清潔に保つことを心掛けましょう
- 寝るときは外しましょう
- 自分で曲げたり、削ったりしないでください
- 落としたり、熱に近づけないでください
入れ歯のお手入れ方法
- 毎食後取り外し、歯ブラシや義歯ブラシで洗う
- 入れ歯安定剤は除去してから水で洗浄する
- 過度に強い力で持たない
- 水を張った洗面器の上で洗う
- 歯磨き粉は使用しない
- 入れ歯洗浄剤は、週に1〜2回程度の使用にする
機能的口腔ケア
口まわりなどの筋肉のトレーニングです。
口腔周囲や唾液腺のマッサージのほか、首周辺筋肉のリラクゼーション、舌の動きをしなやかにするリハビリテーションなどがあります。