8月23日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 栄養科 主席課長で、管理栄養士の佐々木 由美(ささき ゆみ)が、健康な生活を送るための栄養と食生活について講演。「食品の保存と無駄のない利用法」や「お弁当づくり」など、毎日の食生活に欠かせない内容を解説しました。
佐々木講師の講演要旨は次のとおりです。
最近は栄養や食事が健康の源であることが再認識されるようになり、これらの話題に関心をもつ人が増えてきました。
でも、何かひとつの食品を摂ることで、普段の食生活のアンバランスや不摂生を是正するのではなく、日々の食事・運動・排泄・休養によって総合的に健康づくりをしていくことが大切です。
めん類の場合にも、おかずを添えることで栄養のバランスがよくなります。一般的な食品の塩分含有量について
高血圧や心臓疾患など生活習慣病の予防のためにも、1日の適切な塩分摂取量は、男性で9.0g未満、女性で7.5g未満が目標量とされています。
調味料だけでなく、食品にも含まれていますので、目安を覚えていただくと便利です。
魚の加工品
- 塩鮭1切れ(100g)・・・約3g
- あじの開き干し1尾(50g)・・・約1g
- うなぎの蒲焼2切れ(60g)・・・約0.8g
- 蒸しかまぼこ3切れ(40g)・・・約1g
- さつま揚げ1枚(60g)・・・約1.1g
など、味の感じより意外に塩分が多いものもあります。
肉・乳の加工品
- ウインナー1本(20g)・・・約0.4g
- ベーコン1枚(20g)・・・約0.4g
- プレスハム1枚(30g)・・・約1g
- プロセスチーズ1切れ(20g)・・・約0.6g
- バター大さじ1(10g)・・・約0.2g
などです。
そのほか汁物・ご飯ものなど
- 汁物(おわん1杯)・・・約1g
- ラーメン(1人前)・・・約7〜8g
- チャーハン(1人前)・・・約2.6g
- コンビニのおにぎり(1個)・・・約1.2g
汁物は、塩分含有量が多く、汁を飲まなければ、塩分量はおおよそ半分くらいに抑えることができます。
調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく(食生活指針 第9条)
買いすぎ、作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう。
・ 賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
・ 定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう。
豆腐は家庭で「よく捨てる加工食品」の上位を占めていますが、豆腐を1パック買ったら、当日は冷奴や湯豆腐など、素材をそのまま楽しむメニューにし、翌日は炒り豆腐や味噌汁の具にするなどの工夫をすると、無駄無く食べることができます。
「賞味期限」とは?
→比較的腐りにくい食品につけられます。製造日からおおむね6日以上の場合で、その日を少しくらい過ぎても、衛生上の危害があるわけではありません。
「消費期限」とは?
→比較的腐りやすい食品につけられます。製造日からおおむね5日以内の場合で、それまでに食べなければ、衛生上の危害が発生する恐れがあります
しょうゆなどの調味料は、賞味期限のわかりにくいものですが、風味よく使うには、開封後1カ月以内に使い切るのが望ましいとされています。家族の人数に合ったサイズを買い、開封後は冷蔵庫に保管します。開封後、時間が経ってしまった場合には、煮物など、加熱する料理に使用するようにします。また、料理をつくる際、しょうゆをびんから直接注ぐと、鍋の蒸気がしょうゆのびんの入口で結露してしまいます。手間でも小皿などに取り分けてから鍋に注ぐようにします。
そのほか、ブロックのハムやチーズ、フランスパンは、端から切らずに真ん中から切り、切り口同士を合わせてラップに包んでおくと、乾燥が防げ、最後までおいしく食べられます。
電子レンジの活用法
- 湿ってしまったお菓子を乾燥させる。
(耐熱の器に移して加熱すると、一旦柔らかくなりますが、荒熱がとれると同時にパリっとした食感が戻ります) - だいこんおろしの辛味を消す。(熱が入り過ぎないように注意します)
- 荒く切った玉ねぎを電子レンジにかけてからみじん切りにすると、目が痛くなるのを防げる。
- 硬い野菜を切りやすくする。(かぼちゃなど)
- 余分な油を使わずに食品を加熱する。
- スパイスの香りを引き立たせる。
(開封して少し時間の経ったこしょうなど、耐熱の器に入れて電子レンジで加熱すると香りが戻ります) - お湯を沸かす。
(出かける直前にコーヒーを飲みたいとき、電子レンジでお湯を沸かせば、ガスの元栓を締めたか、外出先での心配も無用!)
冷蔵庫の整理方法
- ひとつの野菜を多機能に利用する。(キャベツと白菜、大根とかぶらなら、冷蔵庫にある方を優先して使う)
- 買い物の前に冷蔵庫をチェックする。
- 保管場所を一定にする。(調味料などを冷蔵庫の中で迷子にしない)
- すぐに飲まないジュースやビールは冷やさない。
- 残り物を一掃して料理を作る日を決める。
残さず食べながら、カロリー過剰にならないために
- パンにバターをつけない。(おかわりしない)
- スープはできれば、ポタージュよりコンソメに。
- サラダのドレッシングを控える。
- コーヒーのフレッシュと砂糖を控える。
- サーロインステーキよりヒレステーキを。
- ほかの人の分まで食べない!
- 外食は1日1食まで。(できれば昼がお勧めです)
お弁当に入れやすい野菜
きゅうり、プチトマト、茹でたグリーンアスパラ、カリフラワー、ブロッコリー、ヤングコーン。
甘辛く煮るか、油炒めしたピーマンやしし唐、甘辛く煮るかグラッセにした、かぼちゃやにんじんなど。
白菜、キャベツ、ほうれんそうなどの野菜は、茹でて紙のカップに入れて、ミニパックの醤油を添える。
水気が出にくい工夫をして、お弁当にも100g程度(1日の必要量の3分の1)の野菜を盛り込みましょう。
食べ物への感謝の気持ちについて
ファーストフード(ハンバーガーやピザなど)をジャンクフード(くずのような食品)と呼ぶ場合がありますが、この表現に疑問を感じませんか? 食べ物はみんな、生命の恵みです。
一緒に食べる内容の工夫(油脂が多く食物繊維が不足しがちな食品は、ノンオイルドレッシングをかけたサラダやウーロン茶と組み合わせるなど)で、健康維持のために役立てることができます。
食べ物は生命の恵みです。
最近は食べ物を大切にする風潮が薄らいできており、とても残念です。
食物について考えるとき、
- 食物を大切にする
- 感謝して食べる
- おいしく食べる
以上の3つのことを、次の世代に受け継いでいきたいと思います。