2011年11月21日

第75回らくわ健康教室「男性にもある更年期のお話 〜加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)について〜」

11月2日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 泌尿器科 副部長で、医師の兼光 紀幸(かねみつ のりゆき)が、男性でも症状に苦しむひとが多いとされる「男性の更年期」について、男女の更年期の違い、更年期障害の原因と症状、診断と治療などに分けて、詳しく説明しました。


兼光講師の講演要旨は次のとおりです。

Okimg_97022更年期とは
女性
・・・
閉経期に生じるホルモン環境の劇的な変化に伴う、肉体的・精神的変調で、おおむね45歳〜55歳に多い。

男性・・・
加齢に伴うホルモン環境の緩やかな変化や、社会的な変化に平行して生じる、肉体的・精神的変調で、45歳〜65歳に多い。

男女ともに、臨床症状はほとんど同じです。

男性更年期障害の成因

  1. 社会的変化、ストレス
  2. 精神的・肉体的老化
  3. 男性ホルモンの低下

 の3つが相乗的に働いて、症状が現れます。

ストレスと男性ホルモンの関係

 ストレスの増加男性ホルモンが低下

 男性ホルモンの低下ストレスが増加

   ⇒ どちらが先で、どちらが結果かはわかりません。いずれのケースもあります。

男性の老化症状に関する質問票
下記の項目が、ご自分にあてはまるかどうか、チェックしてみてください。
「あてはまる」を5点、「あてはまらない」を1点として加算してください。

  1. 総合的に調子が思わしくない
  2. 関節や筋肉の痛みがある
  3. ひどい発汗(思いがけず突然汗が出る、緊張や運動とは関係なく火照る など)
  4. 睡眠の悩み(寝つきが悪い、睡眠が浅い、寝起きが早く疲れが取れない など)
  5. よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
  6. いらいらする
  7. 神経質になった
  8. 不安感(パニック状態になるなど)
  9. 体の疲労や行動力の減退(活動の減少、余暇活動に興味がない など)
  10. 筋力の低下
  11. 憂鬱な気分
  12. 「人生の山は通り過ぎた」と感じる
  13. 「力尽きた」「どん底にいる」と感じる
  14. ひげの伸びが遅くなった
  15. 性的能力の衰え
  16. 早朝勃起(朝立ち)の回数の減少
  17. 性欲の低下

合計点が50点を超えていれば、老化症状が進んでいることになります。

更年期障害の治療法

 1.薬物療法

  • ホルモン補充療法
  • 勃起障害治療薬
  • 心療内科治療薬
  • 漢方療法

 2.生活習慣病の管理
 3.カウンセリング

男性ホルモン製剤
注射薬、貼り薬、塗り薬、飲み薬などがありますが、国内で認められていなかったり、副作用が強いものもあります。医師の適切な診断と経過観察が必要です。

男性更年期への対処法

  • 精神的→生き方や仕事の意義を考え直す。肯定的な評価をする。
  • 社会的→時間的、肉体的なゆとりをもって、スポーツや趣味を楽しむ。また、家族・人との付き合いを大切にする。
  • 肉体的→バランスのよい食事と十分な睡眠をとる。

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