11月2日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 泌尿器科 副部長で、医師の兼光 紀幸(かねみつ のりゆき)が、男性でも症状に苦しむひとが多いとされる「男性の更年期」について、男女の更年期の違い、更年期障害の原因と症状、診断と治療などに分けて、詳しく説明しました。
兼光講師の講演要旨は次のとおりです。更年期とは
女性・・・
閉経期に生じるホルモン環境の劇的な変化に伴う、肉体的・精神的変調で、おおむね45歳〜55歳に多い。
男性・・・
加齢に伴うホルモン環境の緩やかな変化や、社会的な変化に平行して生じる、肉体的・精神的変調で、45歳〜65歳に多い。
男女ともに、臨床症状はほとんど同じです。
男性更年期障害の成因
- 社会的変化、ストレス
- 精神的・肉体的老化
- 男性ホルモンの低下
の3つが相乗的に働いて、症状が現れます。
ストレスと男性ホルモンの関係
ストレスの増加 → 男性ホルモンが低下
?
男性ホルモンの低下 → ストレスが増加
?
⇒ どちらが先で、どちらが結果かはわかりません。いずれのケースもあります。
男性の老化症状に関する質問票
下記の項目が、ご自分にあてはまるかどうか、チェックしてみてください。
「あてはまる」を5点、「あてはまらない」を1点として加算してください。
- 総合的に調子が思わしくない
- 関節や筋肉の痛みがある
- ひどい発汗(思いがけず突然汗が出る、緊張や運動とは関係なく火照る など)
- 睡眠の悩み(寝つきが悪い、睡眠が浅い、寝起きが早く疲れが取れない など)
- よく眠くなる、しばしば疲れを感じる
- いらいらする
- 神経質になった
- 不安感(パニック状態になるなど)
- 体の疲労や行動力の減退(活動の減少、余暇活動に興味がない など)
- 筋力の低下
- 憂鬱な気分
- 「人生の山は通り過ぎた」と感じる
- 「力尽きた」「どん底にいる」と感じる
- ひげの伸びが遅くなった
- 性的能力の衰え
- 早朝勃起(朝立ち)の回数の減少
- 性欲の低下
合計点が50点を超えていれば、老化症状が進んでいることになります。
更年期障害の治療法
1.薬物療法
- ホルモン補充療法
- 勃起障害治療薬
- 心療内科治療薬
- 漢方療法
2.生活習慣病の管理
3.カウンセリング
男性ホルモン製剤
注射薬、貼り薬、塗り薬、飲み薬などがありますが、国内で認められていなかったり、副作用が強いものもあります。医師の適切な診断と経過観察が必要です。
男性更年期への対処法
- 精神的→生き方や仕事の意義を考え直す。肯定的な評価をする。
- 社会的→時間的、肉体的なゆとりをもって、スポーツや趣味を楽しむ。また、家族・人との付き合いを大切にする。
- 肉体的→バランスのよい食事と十分な睡眠をとる。