12月1日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 心臓内科 医員で、医師の小山田 尚史(おやまだ なおふみ)が、がんに次ぐ死亡原因である心臓疾患、なかでも死亡率が高い、心筋梗塞について講演しました。小山田講師は「心筋梗塞は適切な治療が行われなければ、死亡率が50%です。恐れないためには、病気について理解を深め、予防方法を勉強・実行してほしい」と強調しました。
小山田講師の講演要旨は次のとおりです。
心筋梗塞、狭心症などの虚血性心疾患とは?
- 虚血性心疾患・・・心臓に酸素や栄養を送っている冠動脈血管の内腔が細くなるため、血液の流れが悪くなる病気です。
- 狭心症・・・血液は流れているが、足りない状態で、主に運動時に胸痛が起こります。
- 心筋梗塞・・・血管が完全に詰まってしまい、その結果、心臓の筋肉の一部が死んでしまいます。
日本における心筋梗塞の現状
急性心筋梗塞の発症者数は、治療技術の進歩などで、減少傾向にありますが、年間15万人いるともいわれます。
男性の発症が多く、特に早朝に発症するケースが多いです。
発症平均年齢は、男性で63歳、女性が72歳と、女性の方が高いのが特徴です。
心筋梗塞の死亡率は、30%と高く、発症1時間以内の超急性期死が問題となっています。
急性心筋梗塞の原因
心筋梗塞は、動脈硬化が存在している部位に発生し、血栓による閉塞が主な原因です。また、発症率は、血圧と血中コレステロール濃度に比例して増加します。
急性心筋梗塞の危険因子として、
- 年齢
- 男性
- 喫煙
- 糖尿病
- 高血圧
- 高コレステロール血症
- 肥満
- 家族歴
などがあります。
これらの危険因子を複数もつと、心筋梗塞の危険は加速度的に増加します。
糖尿病も、コントロールが不良であると発症率は上がり、糖尿病初期(境界型糖尿病)から発症率は高くなります。
診断と治療について
心筋梗塞の自覚症状は、
- 突然の前胸部全体の痛み(鈍痛)や圧迫感
- 左頸・歯・肩・上肢に放散する鈍痛
- みぞおちの鈍痛
- 油汗
- 呼吸困難
など多様です。
上記の症状は一過性(短い間に起こり、すぐに消える)である場合もありますが、その時点で、病院を受診するのが望ましいです。自覚症状が30分以上持続する場合は、心筋梗塞の可能性が高いので、すぐに受診してください
治療目標は、血栓吸引+ステント治療を基本として、血管の閉塞部位を迅速に開通させることです。
心筋梗塞の発症予防について(一次予防)
肝心なのは危険因子を減らし、なくすことです。
- 禁煙
- 運動・・・週3〜4回、1日30分以上の有酸素運動。早歩きや自転車、スイミングなどがいいでしょう。
- 食事管理・・・塩分を控え、食物繊維を摂取する。わかめやこんぶ、根菜などをとりましょう。日本古来の食事内容が最も動脈硬化抑制に効果があります。
- 体重、血圧の管理。
- 高脂血症や糖尿病を管理する
など。
2回目の発症を予防する方法(二次予防)
心筋梗塞発症患者は、再発率が非発症者の4〜6倍も高くなります。
一時予防の方法をもっと厳格に実行し、血圧、高脂血症、糖尿病の管理も厳格に行ってください。