2011年12月21日

第79回らくわ健康教室「形成外科ではどんな治療をしているの? 〜シミ・小腫瘍の治療〜」

12月10日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 形成外科 医師の吉原 正宣(よしはら まさのぶ)が、擦り傷ややけどから、皮膚の悪性腫瘍まで幅広く治療する「形成外科」を紹介するとともに、「シミ」と「できもの」の治療について講演しました。吉原講師は、「単なるほくろなのか、悪性腫瘍なのかと悩むケースもありますが、難しいときは、自分で判断せず、形成外科を受診してください」とアドバイスしました。


吉原講師の講演要旨は次のとおりです。

Okimg_7095_2形成外科とは? 整形外科との違いは?
整形外科は、人間が日常運動をするうえで支障となる病気(骨、関節、筋肉などの病気)を治療するのに対し、形成外科は体の表面にある病気の治療を行います。


対象疾患
1.外傷、外傷後疾患(けが、やけどなど)
2.腫瘍、腫瘍後変形(皮膚のできものなど)
3.表在性先天異常(生まれつきの体の表面の形や色の異常など)
4.美容外科

シミが発生する原因とシミの種類
紫外線などを浴びたとき、肌を守ろうとメラノサイトという細胞が刺激され、産生されたメラニン色素によって日焼けが起きます。通常は、やがて色素は排出されますが、新陳代謝が低下したり、メラニンの生成が過剰な場合、シミになることがあります。

シミの種類

  • ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)
    ・・・20歳ごろに初発する顔面色素斑
     
  • 老人性色素斑/脂漏性角化症
    ・・・シミのなかでも最もありふれたもので、どこにでも生じます。平坦なものが老人性色素斑で、隆起したものが脂漏性角化症です。ただ、鑑別疾患のなかには「悪性黒色腫」や「基底細胞がん」も含まれるので、診断には注意が必要です。
     
  • 肝斑
    ・・・「くすみ」のことで、16歳以上に見られ、化粧などによるこすりすぎが原因と思われます。治療薬もありますが、こすらないのが一番です。
  • そばかす
  • PIH(炎症性色素沈着)
    ・・・外傷や熱傷など、皮膚の損傷が治癒した後にできることが多いシミです。

レーザー治療
シミの治療にはいろいろありますが、洛和会音羽病院では、レーザー治療も行っています。

  • Qスイッチルビーレーザー
    ・・・周囲への熱損傷が小さいのが特長です。シミの治療に効果をあげています。
  • 炭酸ガスレーザー
    ・・・脂漏性角化症、ほくろ、いぼなどの治療に効果をあげています。

皮膚のできもの
<良性腫瘍>

  • 表皮嚢腫
  • 脂漏性角化症
  • 石灰化上皮腫
  • 皮膚繊維腫
  • 軟線維腫

<悪性腫瘍>
基本的に外科的治療が第一選択とされ、種類によっては、必要に応じて、化学療法、放射線療法、免疫療法なども行います。

 ボーエン病

  • 有棘細胞がん(表皮の中間層を占める有棘層を構成する細胞から発生するがん)の前兆となる症状(前駆症)で、比較的高齢者に多い
  • 基本的には単発で発生し、紅褐色〜暗褐色、または黒色をしている 

 日光角化症

  • 有棘細胞がんの前駆症で、比較的高齢者に多い
  • 露光部位に多く、扁平に隆起した黄褐色の局面をしており、周辺は炎症性の潮紅が見られる 

 基底細胞がん

  • 頻度の高い皮膚がんで、高齢者の顔面正中に好発する
  • 紫外線などが誘因
  • 色は黒褐色で、局所で強く浸潤し、中央が潰瘍化することもある 

 有棘細胞がん

  • 表皮ケラチノサイト(表皮を構成する細胞の大部分である角化細胞)の悪性増殖が原因のがん
  • 露光部位に多い
  • 硬い隆起で、しばしば壊死・潰瘍化することもある 

 ケラトアカントーマ

  • 有棘細胞がんに似た疾患であるが、有棘細胞がんは全身のどこにでもできるのに対し、ケラトアカントーマは、おもに顔面にできる

 悪性黒色腫

  • 最も悪性の皮膚がんで、転移しやすいのが特徴
  • メラノサイト(メラニンをつくる細胞)由来
  • 一般の人には、シミやほくろと見分けがつきにくい
  • どこにでも生じる(特に爪、足の裏、下肢、顔)

ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録

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