2012年02月22日

第85回らくわ健康教室「この症状は重症? それとも軽症? 〜救急受診トリアージについて〜」

2月10日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 京都ER救急救命センター 部長で、医師の安田 冬彦(やすだ ふゆひこ)が、患者の重症度、緊急度に応じて、診る順番を決める「トリアージ」について講演しました。近年では、阪神淡路大震災や、東日本大震災などで、トリアージが活用されました。安田講師は、災害現場でのトリアージだけでなく、救急外来でのトリアージや、家庭での緊急事態対処法もわかりやすく解説しました。


安田講師の講演要旨は次のとおりです。

Img_27232トリアージとは、災害発生時など、多数の傷病者が同時に発生した場合、傷病者の緊急度や重症度に応じて、適切な処置や搬送を行うために、傷病者の治療優先順位を決定することをいいます

災害現場でのトリアージ

<災害医療の原則>

  • 限られた資源で最大多数に最善を尽くす
  • 救命の可能性の高い傷病者を優先する
  • 災害弱者(子ども、高齢者、障害のある人、慢性疾患のある人、旅行者)を優先する
  • 軽症傷病者の優先順位は低い

傷病者に最初に接触したら ―現場トリアージ

  • 患者に呼びかける
  • みぞおちに手を当てて、呼吸回数をチェック(反応がなければ、すぐに救急車)
  • 脈はあるか、またその速さはどうかをチェック
  • 意識レベルの再確認

を行ってください。

トリアージの留意点

  • 「近い者」「騒がしい者」から始めない
  • 重傷者は、歩かない人や、話さない人のなかにいる
  • 繰り返し行い、再評価する

洛和会音羽病院では、定期的に行う大規模災害訓練のなかで、トリアージの訓練も行っています。

救急外来でのトリアージ
京都ER救急救命センターでは、「患者さまの状態(重症度など)により、診察の順番が変わることがございます」と掲示しています。適切な医療を行うために、トリアージを行っているためです。
トリアージが導入される前は、

  • 多数の救急患者さまの診察を順番に行っていたら、待っていた患者さまの1人が、ぐったりして動かなくなってしまった。
  • 患者さまが来院されてから1時間後、ようたく診察したら、すぐに手術をしないといけないような重症疾患だった。

ということがありました。

どうやって優先順位を判断するのか

  1. バイタルサイン
    ・・・血圧、脈拍、体温、酸素飽和度、呼吸回数
  2. 見た目の重症度
    ・・・真っ青な顔色、苦悶の表情、冷や汗、出血が持続しているなど
  3. 緊急度の高い疾患に特徴的な症状
     ・ 心筋梗塞→胸痛、冷や汗
     ・ くも膜下出血→頭痛、嘔吐
     ・ 大動脈解離→突然の背部痛
     ・ 急性脳梗塞→半身脱力(麻痺)

119番への通報

  1. 呼びかけても反応が悪い
  2. じっとしていても、息が苦しい
  3. 動こうとすると疼痛が増強する
  4. まったく歩行できない
  5. 3日以上食事・水分が摂取できていない

上記の項目が当てはまる場合は、救急車を呼んでください。
逆に、当てはまる項目が1つもない場合は、あえて救急車を呼ぶ必要はないかもしれません。

家庭自己判断の基本

  1. 意識状態の変化
  2. 呼吸が苦しい
  3. 痛みで身動きできない
  4. 顔色が悪い、冷や汗が出る
  5. 出血している
  6. 食事が摂取できない
  7. 歩行できない

上記の項目が当てはまる場合は、その日のうちに病院へ行ってください。
1〜3は、救急車を呼ぶことも考えてください。


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