2012年03月23日

第89回らくわ健康教室「心房細動による脳梗塞の予防」

3月9日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 高次脳機能障害センター 所長で、医師の猪野 正志(いの ただし)が、近年患者数が増えている「心房細動」の説明を中心に、脳梗塞などとの関係や、予防、治療法について講演。「心房細動そのものは、ただちに命を脅かすものではありませんが、重篤な脳梗塞の原因になることがあります。規則正しい生活習慣を心がけ、薬は適切な量を正確に服用し、定期的に検査を受けましょう」と話しました。


猪野講師の講演要旨は次のとおりです。

Okimg_43642「心房細動」という病気をご存じですか?
心臓は、左右の心房と心室の4つの部屋に分かれており、これらが連携して規則正しい拍動を繰り返すことで、全身に血液を送るポンプの役割をしています。

「心房細動」は不整脈の一種で、心房部分がけいれんするように震えて、規則正しい拍動ができなくなった状態のことを言います。高齢者に起こりやすい病気で、高齢社会を迎えた今、患者数は増え続けています。

心房細動の原因
心臓に病気のある人だけでなく、ストレスや不規則な生活習慣によっても起こります。また、加齢や、ほかの病気(高血圧、糖尿病など)の合併症など、さまざまな原因が考えられます。

心房細動の症状

  • 動悸(脈のバラバラ感)
  • 息切れ、呼吸困難
  • 疲労感
  • 胸の痛みや不快感
  • めまい、ふらつき

ただし、無症状のことが多く、定期健診の心電図検査などで初めて心房細動が見つかる場合もあります。

心房細動はなぜ怖いのでしょうか?
心房細動そのものは、ただちに命を脅かすものではありません。しかし、心房細動があると、心房内の血の流れが乱れたり、血液がうっ滞したりして、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。
この血栓が心臓から飛び出し、脳の血管を詰まらせると、脳梗塞を起こします。
心臓にできた血栓が原因で起きる脳梗塞を「心原性脳塞栓症」といいますが、これは重症であることが多く、心房細動の患者さまは、脳を守ることが大切です。
脳卒中は、寝たきりになる最大の原因であり、要介護の最大の原因でもあります。また、一般的に、脳卒中患者さまの入院期間は長いため、医療費の高さにつながります。
確定診断された脳卒中のうち、約75%が脳梗塞であり、脳卒中の死因でも、脳梗塞の占める割合が高くなっています。脳梗塞のなかでも、心原性脳塞栓症は重症化しやすく、患者数も増加しています。

心房細動の治療法は?
心房細動の治療は、

  1. 心房細動以外の病気の治療や生活習慣の改善
  2. 脳梗塞の予防
  3. 心房細動そのものの治療

の3つに分けられます。

(1)薬を使わない特殊な治療

  • カテーテルアブレーション
    ・・・脚の付け根の太い血管からカテーテル(細長い管状の器具)を心臓まで通し、不整脈が起きないようにする内科的なカテーテル治療
  • 心臓ペースメーカー
    ・・・心臓に人工的な電気信号を送ることで、心臓の本来の拍動を促す医療機器

(2)抗不整脈薬による治療
心臓で起こっている細動を取り除き、心臓の心拍リズムをコントロールするものと、細動が起こったままの状態で、心拍数をコントロールするものがあります。

(3)抗凝固薬(血を固まりにくくする薬)による治療
血液を固まりにくくして、心臓などに血栓ができるのを抑え、脳梗塞を予防する薬です。
※主治医とよく相談し、指示された量・回数を厳格に守ってください。

心不全などの心臓病のある人や、高血圧の人、糖尿病の人、脳卒中の既往がある人、高齢(特に70歳以上)の人は、脳梗塞を起こしやすいので、薬での予防が必要です。

治療中の生活で気をつけることは?
心房細動はきちんと管理・治療を行えば、決して怖い病気ではありません。

  • 薬は、医師・薬剤師の指示に従って正しく服用し、しっかり継続する。
  • 定期的な検査・受診を欠かさない。
  • 規則正しい生活をし、高血圧、糖尿病などの生活習慣病に注意する。
  • 医師・栄養士と相談のうえ、バランスのとれた食事をし、自分に合った運動をする。
  • 過度な飲酒は避ける。
  • タバコをやめる。
  • 十分な睡眠をとり、疲労をためない。

気になることがあったら、必ず主治医に相談しましょう


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録



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