3月16日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会丸太町病院 救急・総合診療科 医師の宋 光明(そう こうみょう)が、高齢者やその家族に関心が高い「認知症」について自己チェックの方法や、検査、治療法、予防法について講演しました。宋講師は「認知症にはさまざまな種類があり、認知症の方は確実に増えています。早期の受診をお勧めします」と呼びかけました。
宋講師の講演要旨は次のとおりです。認知症とは
記憶障害と失認、失行、失語のうち、少なくとも1つが障害される病態のことです。
物忘れが激しくなったり、何かしようとしたができない、覚えていたことが思い出せないなどの症状が現れます。
認知症の患者さまはどれくらいいるの?
現在、日本の認知症の患者さまは、65歳以上の3.8〜11%といわれており、人口の約1割弱ぐらいいると思われます。また、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症の患者さまも、ともに確実に増えています。
アルツハイマー型認知症とは
脳細胞の性質が変化(退化)することで出てくる認知症です。
脳血管性認知症とは
脳梗塞後に発症するケースが一番多くみられる認知症です。
予防するには、脳梗塞の予防、つまり生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、高血圧症など)の予防・治療が大切です。
そのほかの認知症の原因
- 頭部外傷
- パーキンソン病
- うつ病
- ビタミンB12欠乏症
- 甲状腺機能低下症
- 神経梅毒
など、さまざまな原因があります。
認知症と思ったら
・・・自己チェックをしましょう
MMSE(Mini Mental State Examination)は、認知症の疑いがある被験者に対して行われる、口頭形式の簡単なテストです。主に記憶力、計算力、言語力、見当識(現在の日時や日付、自分がどこにいるかなどを正しく認識しているか)を測定します。
以下の質問は、その一部です。今日は
- 何年ですか?
- 季節はいつですか?
- 何月何日ですか?
- 何曜日ですか?
ここはどこですか
- 国は?
- 何市ですか?
- 何という町ですか?
- 何の建物ですか?
- 何階ですか?
早期受診をお勧めします
自覚症状や気になることがあれば、医療機関を受診しましょう
医療機関では、まず、問診を行います。このとき、ご家族同伴で来ていただければ、情報はかなり増えます。
認知症の可能性が疑われれば、認知機能検査や画像検査(CT、MRI)、血液検査などを行います。
治療法
医療機関では、認知症の進行を抑える内服薬による治療が主体ですが、疾患の種類によって方法が変わります。
予防法
- エクササイズも効果があるのではないかといわれています。
- 生活習慣病の予防・治療が重要です。
- 栄養をしっかりとること。
- 仕事をすることなども、効果があります。