2012年05月09日

第96回らくわ健康教室【介護版】 「老若男女! 美肌教室」

4月24日に開かれたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 看護部 師長の伊藤 洋子(いとう ようこ)が、美肌を保つためのスキンケアについて講演しました。質問も数多く寄せられ、講演後には、せっけんの泡立て方など実演を交えて、効果的な洗顔のやり方を説明しました。


講演内容は以下のとおりです。

Okimg_84102皮膚は最大の臓器
皮膚は単なる“皮”ではなく、さまざまな機能をもつ最大の「臓器」です。面積は約1.6u、体全体の16%を占めます。皮膚には全身機能の反応として、次のような症状が現れたりします。
 ・ アレルギー性反応→じんましん
 ・ ホルモンバランス→にきび、しっしん
 ・ ストレス→口角の荒れ、肌荒れ
 ・ 栄養不足→肌荒れ、乾燥

 
  
 
皮膚の構造
 表皮は20層からなり、1カ月ほどで生まれ変わります。紫外線や刺激物などを妨げる働きをもつほか、保湿の働きももっています。表皮の中でも、最も外界に近い「角層」が水分を保持し、潤いを保っています。

 
皮膚に影響を与える要因
皮膚に影響を与える要因として、体外からのものと、体内からのものとがあります。

<体外から>
 紫外線、化学物質、病原体、温度、湿度、ケア手技など。

<体内から>
ストレス、疲労、睡眠不足、化学物質、栄養障害、内臓疾患、皮脂分泌の過不足、たばこ、偏食など。

男性にも大切なスキンケア
スキンケアが大切なのは女性だけではありません。以下の点から、男性にとってもスキンケアは大事です。

  • 髭そりで角質層が傷む
  • 女性に比べて30〜40%も水分量が少ない
  • 肌が常に紫外線にさらされている
  • 皮脂(あぶら)が多いので、汚れがつきやすく、毛穴もつまりやすい

スキンケアの基本
スキンケアの基本は次の4点です。
 洗浄 清潔 保湿 保護

洗浄
洗浄の際にはせっけんを使いますが、泡が重要です。その役割は・・・

  • 汚れを吸着
  • 汚れの再付着を防ぐ
  • 肌のきめの中までよく洗う
  • 摩擦による肌への刺激を防ぐ など

弾力のある泡にして、やさしく、包み込むように洗いましょう。

泡の原理

  1. 泡の分子が汚れにひっつく〔吸着〕
  2. 汚れにまとわりついて引っ張りあげる〔取り込む〕
  3. 汚れを取り除く〔浮かす〕

洗浄剤の選択
基本は、自分の肌にあったもの。洗顔の場合は、固形せっけんがお勧めです。せっけん以外だと、しっとり感を残すため油膜が残ってしまい、化粧水などが浸透しにくくなってしまいます。

清潔
清潔な衣服、下着、寝具、タオルを使い、きれいな空気にするため、室内は整理整頓を心がけましょう。汚れやあかは速やかに取り除き、寝る前には、必ず化粧品を落としましょう。

保湿
“かさかさ”は、お肌の敵です 乾燥させないようにしましょう。
そのためには、皮脂膜が大事です。
洗浄の際には、こすったり叩いたりせずに、泡洗い。乾燥は押し拭きを。お手入れには、化粧水と乳液をたっぷり使い、手になじませて、やさしく押さえましょう。

化粧水の選択
必要なのは水分ではなく、うるおい成分(セラミド・ヒアルロン酸など)や、美肌成分(ビタミンC誘導体)です。最強の保湿成分はセラミド2といわれています。

乳液の選択
皮脂分泌を妨げるため、油分が多過ぎないものを選びましょう。また、セラミドなど保湿成分を含むものにしましょう。

クリームの選択
油分を補うこっくりしたものを。

保護
<紫外線対策>
冬でも、曇りの日でも、日傘や日焼け止めを使いましょう。

  • 紫外線A波
    ゆっくりじわじわ浸透し、コラーゲン老化、シミ、しわ、皮膚がんにつながる場合もあります。
  • 紫外線B波
    エネルギーが強く、水泡ができてしまう場合もあります。
              

日焼け止め

  • 紫外線吸収剤: 肌上で吸収しますが、肌にはやや負担になります。
  • 紫外線散乱剤: 紫外線を跳ね返します。肌に優しいので普段から使えます。

<しみ・しわ・たるみ対策>
一般に、25歳をピークに体内水分の減少、皮膚の弾力低下、ターンオーバー(表皮の生まれ変わり)の低下が始まり、しみ、しわ、たるみの原因となります。
対策としては・・・

  • ビタミンC誘導体配合化粧水
  • 角質ケア(ピーリング)
  • レチノール配合美容液
  • 紫外線対策、
  • 規則正しい食生活、睡眠 など

乾燥肌チェック
チェックリスト: 下記の項目のうち、3つ以上当てはまると、乾燥肌の可能性があります

  1. 目元などにしわができやすい
  2. 冬は肌がかゆくなる
  3. 洗顔後ちょっと肌がつっぱる
  4. スキンケアは化粧水のみ
  5. ファンデーションが粉浮きする
  6. 唇が乾きやすい
  7. 静電気が起きやすい
  8. 雑誌のページがめくれない
  9. 冷暖房の効いた部屋にいる

ハンドケアの基本
ハンドケアの基本は、清潔、保湿、保護。泡でやさしく手洗いし、清潔にし、保湿クリームを塗りましょう。就寝前や冬の季節などには撥水クリームも。クリームを塗った後に、ラップで20分保護すると、より効果的です。
保護には手袋を。夏は、木綿製のものやUV手袋、冬は皮の手袋がよいでしょう。

ボディーのスキンケア(乾燥肌)
以下のに注意しましょう。

 清潔の保持
  熱すぎないお湯(36〜39℃)にゆったりつかる。
  柔軟な刺激の少ないタオル、せっけんを使い、強くこすらない。

 刺激物の除去
  硬いブラシや硬いタオルを避ける。
  綿素材の下着でサイズは緩やかなもの。

 乾燥防止
  
過度な暖房はさける。浸透性のある保湿剤を使う。

 紫外線防御
  帽子をかぶり、炎天下に長時間いることは避ける。

 保湿
  化粧水やボディクリームを塗る。

※かゆみや湿疹などの症状がある場合は、皮膚科医に相談しましょう。

スキンケアとともに必要なこと

  • 睡眠
  • 栄養
  • 運動・入浴

睡眠
夜10時から深夜2時までの4時間は、「睡眠のゴールデンタイム」といわれています。この時間帯は特によい睡眠がとれるようにしましょう。

よい睡眠を促してくれるものとして、
ノンカフェインの飲み物、アロマオイル、難しい本、ストレッチ、ヨガ、就寝1時間前の照明ダウン、ゆるめの下着・・・
などが挙げられます。

栄養
栄養素をバランスよくとりましょう。

  • ビタミンA:肌を丈夫にする・・・緑黄色野菜100g以上
  • たんぱく質:肌の材料になる・・・50g
  • ビタミンC:保湿、美白・・・淡緑色野菜200g

 ※悩み別の食べ物
  基本はバランスよく食べることです。

  • 冷え性・顔色が悪い
    ⇒ かぼちゃ、人参、ごぼう、生姜、納豆、いわし など
  • むくみ
    ⇒ ささみ、豚、えび、いか など
  • くすみ
    ⇒ 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳など)
  • 便秘・にきび
    ⇒ 玄米、食物繊維、ビタミンB、鉄分

       
運動・入浴
適度な運動で新陳代謝を良くし、血流を良好にしましょう。
半身浴は基本的に× 入浴にはリラックス効果や保温効果がありますが、半身浴では汗をかいても毛穴の汚れはとれません。乾燥しやすくなり、美肌とは無関係です。

まとめ
スキンケアに関する情報が氾濫していますが、なかには間違った情報もあります。現在使っている化粧品などについても正しく知ることが大事です。自分のお肌について正しく理解し、素肌美をめざしましょう


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