2012年05月30日

第99回らくわ健康教室「前立腺がんの治療 〜小さな傷でできる腹腔鏡手術〜」

5月15日に開催されたらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 泌尿器科 副部長で医師の赤尾 利弥(あかお としや)が、前立腺がんの治療について講演しました。赤尾講師は、泌尿器疾患について、図表や画像・映像を交え、わかりやすく語るとともに、診断、治療、手術についての説明を行いました。


赤尾講師の講演要旨は以下の通りです。

Okimg_97802「前立腺肥大症」
泌尿器科の扱う泌尿器疾患のひとつ「前立腺肥大症」は、前立腺の内側が大きくなるか、前立腺の筋肉の過剰な収縮によって、尿道が圧迫された状態を言います。50歳代後半から、主に60歳代以降の疾患です。


症状
 排尿困難、頻尿・夜間頻尿、切迫性尿失禁

治療
 ・  内服治療・・・αブロッカー、植物製剤、抗コリン製剤
 ・  手術加療・・・内視鏡切除手術(レーザー)、開腹手術

「前立腺がん」
前立腺の外側に生じ、初期症状はほとんどありません。50歳代からなる人もいますが、主に60歳代からの疾患です。血液検査で前立腺がんの可能性を調べます。(PSA検査)
※PSA: 前立腺細胞がつくり、特に前立腺がんがあると増える物質で、早期がん発見に役立つものです。(ただし、前立腺肥大症や前立腺炎でも増えます)

症状

  • 初期・・・無症状のことが多い
  • 進行期・・・転移症状
  • 骨転移・・・疼痛
  • 尿路症状・・・尿路閉塞、血尿

治療
 
手術、内分泌療法(抗男性ホルモン薬)、放射線療法(外照射、小線源治療など)

前立腺がん検査の流れ

  1. スクリーニング検査(PSA、直腸診、経直腸的超音波診断)
  2. 確定診断(前立腺生検)
  3. 病期診断(CT、MRI、骨シンチグラフィー)

前立腺がんの病期別治療方針

  • 経過観察
     がんの悪性度が低い場合、特に治療せず、様子を見ることもあります。
  • 手術
     がんが前立腺内にとどまっている場合、手術で前立腺ごと取り除きます。
  • 放射線療法
     手術に代わる根治加療として行われたり、転移部位に照射したりします。 
  • 内分泌療法
     がんが前立腺周囲の臓器、あるいはリンパ節にまで広がっている場合、がんの進行を抑えます。 

腹腔鏡前立腺全摘出手術について
体への負担の少ない手術方法です。洛和会音羽病院では、導入後、2011年12月までに10例を達成。2012年1月より施設認定を受けています。
※洛和会音羽病院の腹腔鏡前立腺全摘出手術・・・現在16例

おわりに
PSA検査の普及により、前立腺がんを早期発見できるようになっています。また、腹腔鏡手術により、小さな傷で根治手術が行えます。
まだ検査を受けていない50歳代で、排尿について気になる方に、PSA検査の受診をお勧めします。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録

カテゴリー:らくわ健康教室 | 更新情報をチェックする