9月13日に開催のらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 栄養科 主席課長で管理栄養士の佐々木 由美(ささき ゆみ)が「健康と食べ物の関わり」について講演しました。佐々木講師は必要栄養量や食事療法などについて、わかりやすく説明を行いました。
佐々木講師の講演要旨は以下の通りです。
推定エネルギー必要量とは?
推定エネルギー必要量とは、過剰および不足のリスクが最も低くなる摂取量のことです。
- I:低い
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。 - II:ふつう
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業、接客など、あるいは通勤・買い物・家事・軽いスポーツのいずれかを含む場合。 - III:高い
移動や立位の多い仕事の従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合。
必要栄養量の求め方
必要栄養量とは、健康を保つために必要なエネルギーおよび各栄養素の標準的な摂取量です。
エネルギーの必要栄養量は、次の計算式で求められます。
【標準体重(身長(m)×身長(m)×22)】×【下記の活動量別カロリー】=【必要栄養量】
- 20kcal:寝たきり状態
- 25kcal:主に部屋の中で生活
- 30kcal:サラリーマンや主婦
- 35kcal:農繁期の農夫、漁師
- 40kcal:左官、大工
高血圧症などの食事療法
■ 高血圧症の分類
- 二次性高血圧症=原疾患が明らか
- 本態性高血圧症=原疾患不明(一次性高血圧症ともいい、高血圧全体の約90%を占めます)
高血圧症は動脈硬化の危険因子であり、合併症として、虚血性心疾患や脳血管疾患、腎硬化症を引き起こします。また動脈硬化の危険因子としては、高LDLコレステロール血症、高血圧症、糖尿病、喫煙、低コレステロール血症、家族歴が挙げられます。
■ 高血圧症の食事療法
- 減塩
- 適正体重の維持
- 飽和脂肪酸・コレステロールの摂取
- アルコールの制限
- 薬物療法時の食事の注意点
具体的には、大豆、魚介類、海草類、葉菜類などマグネシウムを多く含む食品が望ましいとされています。
総コレステロールの血中濃度は、高すぎると動脈硬化の原因となりますが、低すぎると栄養状態の不良が懸念されます。コレステロール摂取の目標量について、「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、
成人男性:750mg未満/日
成人女性:600mg未満/日
とされています。
■ 鉄欠乏性貧血の食事療法
- 鉄の摂取量を増加させる
- 良質なタンパク質を摂取する
- 鉄の吸収を阻害する食品成分に注意する
- 特殊食品を利用する
野菜の摂り方
野菜の摂取の目安は350g/日が理想です。
■ 野菜の摂り方の工夫
- 生で食べられる野菜を常備する(プチトマト、キュウリ、レタス)
- カット野菜を利用する
- 冷凍野菜や水煮野菜を利用する
- 具だくさんの味噌汁やポトフなどの料理を取り入れる
- 時間のあるときに野菜料理を作っておく
- 野菜のスライサーや皮むき器を利用する
食材を無駄なく使うコツ
- 調味料や乾物など、同じ種類のものはまとめて保管する
- 冷蔵庫や食品棚はいつも見通し良くし、食品を回転させる
- 買ってきたものをスーパーの袋のまま冷蔵庫に入れない
- 家族の人数に合わせたサイズを選ぶ
災害時の備蓄
- 缶詰(味の濃いものだけでなく、素材缶詰(ホワイトアスパラガス、トマト、たけのこ、マッシュルーム、ツナ、カニ缶)も)
- レトルトパックの食品(カレー、シチュー、ハンバーグ、おでん、中華丼など)
- フリーズドライの野菜・食用油・粉末のミルク
- 果物や野菜のジュース
- ミネラルウォーター
- カセットコンロ
- ラップ、割り箸、ウエットティッシュ