2012年11月06日

第119回らくわ健康教室「糖尿病による足切断をふせぐために」

10月12日に開催のらくわ健康教室は、洛和会音羽病院 創傷ケアセンター センター長 兼 洛和会音羽記念病院 皮膚科 部長の松原 邦彦(まつばら くにひこ)が糖尿病性壊疽(えそ)について講演しました。松原講師は糖尿病発症後の障害から足のケアについてまで、わかりやすく説明を行いました。


松原講師の講演要旨は以下の通りです。

P_lecturer 洛和会音羽病院 創傷ケアセンター

  • 治りにくい足の傷、壊疽などの専門外来です。
  • 院内、院外諸施設との連携を推進しています。
  • 洛和会音羽病院で、月曜日午後、木曜日午前に外来を開いています。
  • 完全予約制。ほかの医療機関からの紹介患者さまのための外来です。

壊疽とは?

  • 壊死(えし)の一種。壊死に陥った部分が腐敗、融解を来した状態。脱疽(だっそ)。(広辞苑より)
  • 局所的に壊死した組織の表面が黒変した状態。脱疽。(大辞林より)

糖尿病になると・・・

  • 神経が鈍くなる(神経障害)
  • 血管が細くなる(動脈硬化症)
  • ばい菌に弱くなる(免疫低下)

糖尿病性神経障害

知覚神経、運動神経、自律神経のすべてが障害される。  

  • 知覚神経障害⇒傷ができても気付かない。
  • 運動神経障害⇒腱(けん)の萎縮による足変形。
  • 自律神経障害⇒発汗低下による乾燥や血流のバランス悪化による虚血。

糖尿病血管障害

  • 太い血管も、細い血管も障害される。
  • 細い血管の障害は、診断も治療も困難。
  • 特に糖尿病性腎症による透析患者に多い。

末梢動脈の障害

  • 検査で異常が出にくい。
  • 出血があるのに血が流れていない。
  • 血管を広げるのが困難。

神経障害が起きると足の筋肉が萎縮してしまい、足の変形が進みます。また感覚が鈍くなるため、傷ができても気付かず、足の指が曲がったままになってしまう状態(クロートゥ変形)や、土踏まずから足首の関節がつぶれてしまう状態(シャルコー足)となる場合もあります。さらに感染症が重なると、足の切断または命に関わる状態となります。
また、細い血管にのみ血管障害が起きると、発見が遅れ、血管を広げるための治療(カテーテル治療)が非常に難しく、診断にも治療にも苦労することになります。
治療の原則は傷の治療と血管の治療をうまく組み合わせることです。せっかく治しても、足変形や知覚神経障害があるために非常に再発しやすいのが特徴です。
デリケートな足を保護するためには、足に合った履物が必要です。

靴選びの誤解

  • 幅の広い靴が良い
  • やわらかい靴が良い
  • ひもを緩めた方が良い
  • 家では健康サンダル

正しい靴にはゆがんでしまった足を矯正する効果があります。やわらかすぎる靴、大きすぎる靴は良くありません。また、健康サンダルは「健康な人のためのサンダル」とお考えください。足の傷が心配な方には刺激が強すぎます。

靴、装具をつくる

靴が大きすぎて、中で足がずれるのも傷の原因となります。足にぴったりフィットしながら適切な除圧を得るために、一人ひとり型取りをしてオーダーメイドの装具(中敷きや靴など)を作成する必要があります。
※洛和会音羽病院創傷ケアセンターでは「装具外来」を併設し、義肢装具士が適切な装具を提供しています。

おわりに

足をきれいに保ち、以下の点にご留意ください。

  • 乾燥肌になるのを避けましょう。
  • 爪は正しく切りましょう。
  • 低温熱傷に注意しましょう。

万が一、足の傷に気付いたときは、日にちや傷の様子をメモに書き残しておきましょう。傷に気付いてから2週間以上経過して治らない場合や、次第に大きくなったり深くなっていく場合は、必ずかかりつけの病院を受診し、医師に相談してください。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録



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