2012年12月19日

第125回らくわ健康教室【介護版】 「こんな時どうすればいいの? 〜家庭での急変時対応〜」

11月30日に開催のらくわ健康教室では、洛和会音羽病院 救命救急センター・京都ER 師長で救急看護認定看護師の倉本真智子が、家庭での急変時対応について講演しました。倉本講師は、心肺蘇生の方法や窒息・骨折・出血などの急変時の対応方法について、実演を交えつつ詳しく語りました。


倉本講師の講演要旨は以下の通りです。

P_lecturer あなたの目の前で突然人が倒れたら、あなたは何をしてあげられますか?

●まずは倒れた人に呼び掛け、反応がなければ、すぐに119番通報をします。

●119番通報後、救急車が来るまでの8分間(全国平均時間)に、心肺蘇生法(CPR)を行います。

CPR
(Cardio Pulmonary Resuscitation):
心臓や呼吸が止まってしまった人に対して、脳のダメージを最小限に抑えるために実施する、胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸といった一連の心肺蘇生の方法。

●心肺停止から2分後までにCPRなどの救命処置を行った場合、救命の可能性は50%です。
救急車が来るまで何もしない場合の救命の可能性は15%です。
→救急現場に居合わせた人(バイスタンダー)のCPRが命を救います。

CPRの手順

  1. 反応の確認
    耳元で大きな声で呼び掛けながら、肩を軽くたたき、反応を見ます。
  2. 119番通報とAEDの手配
    反応がなければ、大きな声で周囲に助けを求めます。協力者が来たら、“119番通報”と“AED”を要請します。
  3. 呼吸を見る
    普段通りの呼吸があるかどうかを、胸や腹部の上がり下がりを見て、10秒以内で確認します。
  4. 胸骨圧迫(心臓マッサージ)
    肘をまっすぐに伸ばし、手の付け根の部分に体重をかけ
    「強く」傷病者の胸が少なくとも5p沈むほど
    「速く」1分間に少なくとも100回のテンポで
    「絶え間なく」30回連続して圧迫します。
    ※圧迫と圧迫の間は、沈んだ胸がしっかり戻るまで十分に圧迫を解除しましょう。
  5. 気道を確保します。
  6. AEDが到着したら電源を入れます。
  7. AEDの音声メッセージに従い、電極パッドに描かれた絵の通りに、電極パッドを傷病者(倒れた人)の胸に貼ります。
  8. 電気ショックの必要性をAEDが判断します。この間、傷病者に触れてはいけません。
  9. AEDの音声メッセージに従って、誰も傷病者に触れていないことを確認してから電気ショックボタンを押します。
  10. 以後は、AEDの音声メッセージに従いましょう。
  11. 心臓マッサージをするように音声指示があった場合は、電極パッドを付けたまま、心臓マッサージ30回と人工呼吸2回の組み合わせで実施します。

窒息時の応急手当

助けを呼び、119番通報するとともに、適切な方法で喉に詰まった異物の除去を試みます。

  • せきを続けさせる
    せきは異物の除去に最も効果的なので、せきをしている時は、できるだけ続けさせます。
  • 背部叩打法
    手の付け根で、肩甲骨の間を力強く何度も連続してたたきます。全ての人に対して実施できます。
  • 腹部突き上げ法
    片手で握りこぶしを作り、背中側から抱え込むようにして、握りこぶしの親指側をへその上方、みぞおちよりも十分下方に当てます。その握りこぶしをもう片方の手で握り、すばやく手前上方に向け、圧迫するように突き上げます。妊婦や乳児に実施してはいけません。
  • 胸部突き上げ法
    乳児に実施できます。片方の腕に乳児の背中側を乗せ、手のひら全体で後頭部をしっかり持ち、頭部が下がるように仰向けにします。次に、もう一方の手の指2本で、胸の真ん中を数回連続して圧迫します。

骨折時の応急処置

骨折は気付かずに放置すると、悪化したり、治癒を遅らせてしまうことになります。捻挫だと思って安心せず、強い痛みがある場合には骨折を疑い、すみやかに整形外科を受診しましょう。

<応急処置の手順>

  1. 骨折した部分を動かさないようにし、患者を安全な場所に移動させます。
  2. 傷があれば、先に傷の応急処置をします。
  3. 板や傘、雑誌、毛布、定規など、添え木に使えそうなものを探します。
  4. 骨折部の上下の関節を含めて添え木で固定します。
  5. 包帯は添え木が動かない程度に、きつすぎず、緩すぎず巻くのがコツです。
  6. 腕をつるには、三角巾が便利です。三角巾は、レジ袋の左右を切り開いても代用できます。

出血時の応急処置

<鼻出血>

  • 親指と人さし指で10分ほど鼻の付け根をつまみます。
  • 次に、冷たいタオルや氷のうなどで鼻を冷やします。
  • 上記の方法でも出血が止まらない場合は、清潔な脱脂綿やガーゼ、ティッシュなどを鼻に詰め、小鼻を指でつまみ圧迫します。
  • 口の中に血液が流れ込んできた場合は、飲み込まず、吐き出すようにします。

※頭を後ろに反らせる、仰向きに寝かせる、首の後ろをたたくことは避けましょう。出血を促すだけでなく、血液が口の中に流れ込んで呼吸困難や吐き気の原因になります。

<手や腕の出血>

  • 出血している部位を圧迫し、心臓より高く上げます。
  • 出血部をガーゼや布の上から手や絆創膏でしっかり押さえたり、包帯を少し強めに巻くなどして、数分間直接圧迫します。

※感染予防のため、血液には直接触れないようにしてください。

終わりに

目の前で突然人が倒れたら、勇気をもって応急処置を行うことが大切です。そうすることで、救命の連鎖が起こり、命を救うことができます。
日ごろからCPR(胸骨圧迫・人工呼吸・AEDの使用)や、骨折時の応急処置、止血法などの正しい知識を身に付け、家庭での急変時や怪我の際には、適切に一時的処置ができるようにしましょう。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録

カテゴリー:らくわ健康教室 介護版 | 更新情報をチェックする