2013年03月04日

第134回らくわ健康教室「突然発症で怖い心血管病 〜その予防法〜」

2月13日の第134回らくわ健康教室は、「突然発症で怖い心血管病 〜その予防法〜」と題して、洛和会音羽病院 心臓内科 副部長で医師の田邉 昌人(たなべ まさと)が講演しました。


概要は以下のとおりです。

P_lecturer 心臓病と血管病のうち、突然発症して怖い代表的疾患は5つあります。

心臓病

  • 虚血性心疾患<急性心筋梗塞症、冠攣縮(かんれんしゅく)性狭心症>
  • 急性うっ血性心不全
  • 致死性不整脈疾患

血管病(動脈疾患)

  • 急性大動脈解離
  • 急性動脈閉塞症(心原性血栓塞栓症、閉塞性動脈硬化症)

これらは発症すれば緊急の処置・治療が必要です。
そうならないために、日常の予防が重要です。

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(心臓病に特有の発作の症状をよく表す絵。レストランでごちそうを食べた年配の男性が、急に寒い戸外に出たところ、胸が締め付けられるような痛みや左肩に痛みが走る症状に襲われた様子)
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急性心筋梗塞の発症には、2つの原因があります。
心臓を覆う冠動脈の一部の血管の壁の筋肉が、痙攣(けいれん)したかのように過収縮して、血管がふさがる「冠攣縮」
冠動脈にたまった、かゆ状の脂肪の固まり・粥腫(じゅくしゅ、プラーク)が破れた「プラークの破綻(はたん)」

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冠攣縮による急性心筋梗塞は、早朝〜午前中に多い、安静時に発症する、胸痛、肩〜腕、あごや首の締め付け感、などが特徴ですが、痙攣が起こる部位がさまざまで、最悪の場合は突然死することもあります。
プラークの破綻による急性心筋梗塞は、プラークがそれほど大きくなくても、破れると体の防御反応が逆に血栓をつくる結果を招き、血管が詰まってしまいます。

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急性心筋梗塞は、致死性不整脈、急性うっ血心不全や、心破裂・心室内血栓形成、心原性血栓塞栓症など、さまざまな合併症(二次災害)を引き起こします。

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(特に急性心不全は夜間に突然発症しやすい
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血管病の急性大動脈解離は心臓から背骨に沿って大黒柱のように走っている大動脈の一部が裂ける疾患です。
血管は、内側から内膜、中膜、外膜とバウムクーヘンのように3層構造になっていて、急性大動脈解離は脆弱な(障害されて弱くなった)血管の内膜や中膜部分が裂けることで起こります。裂けた部分がこぶのように盛り上がり、血管に沿ってこぶが広がります(解離性大動脈瘤)。
裂け目のできやすい部位は心臓から出た部分と、左肩の付け根部分で、こぶが血管の分岐部を圧迫すると臓器にさまざまな障害を引き起こします。

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大切なことは動脈硬化の予防です。(特に血管の内膜を傷つけないための生活習慣上の注意が必要です)

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メタボリック症候群(以下、メタボ)に該当する人は、特に注意が必要です。国内外の統計調査で、メタボの人が心血管病を発症する比率は、メタボでない人より有意に高いという結果が報告されています。

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脂肪細胞はたまりすぎるとさまざまな障害を引き起こす危険性があります。

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動脈硬化の危険因子には、肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症、喫煙習慣があります。これらが複数合併すると危険度が大きく増えるため、危険因子を一つでも減らすことが必要です。

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食事と運動に気を配りましょう。生活習慣病予防の基本になります。

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おわりに
生活習慣病としての心血管病は、時として突然発症するので、病気の存在とその原因について理解しておくことが重要です。
日ごろから予防を心がけることで、心血管病の発症を避けることができます。
永続的な生活習慣の是正が重要です。自分が実践できる目標を立てましょう。


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