2014年03月17日

第167回らくわ健康教室 丸太町スペシャル

10月20日開催の第167回らくわ健康教室は、洛和会ヘルスケア学会の関連行事として、通常よりも広い会場で、拡大した内容の「スペシャル版」として行われました。2014(平成26)年1月1日に新築移転した洛和会丸太町病院の3人の専門医が、各分野の紹介を兼ねて講演しました。


「洛和会丸太町病院 心臓内科の挑戦」

講師:心臓内科 医長 富士榮 博昭(ふじえ ひろあき)

はじめに

わたしたち心臓内科は、“医療の質”確保のために、「チーム医療」「長期生命予後をめざした全身的治療」「地域医療(病診連携)」にこだわっています。

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狭心症・心筋梗塞や脳卒中は、臓器そのものではなく血管に原因が

動脈硬化は、全身にさまざまな病気を引き起こします。脳動脈が硬化すれば脳卒中が、心臓の冠動脈なら狭心症や心筋梗塞が、大動脈なら動脈瘤(りゅう)が・・・といった具合です。これらの病気を診断するために、さまざまな検査法があります。

  1. 脈波伝播速度PWV/ABL
    血管年齢を調べます。腕と足首で同時に血圧を測定し、動脈硬化の程度を調べます。
  2. 超音波検査(エコー検査)
    超音波で血管内部の状態や血液の流れを観察します。
  3. CT検査
    造影剤を腕の静脈に入れながら、体の断面をエックス線で撮影します。撮影した画像をコンピューター処理して、立体画像や断層画像をつくります。

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  4. MRI検査
    体の断面を磁場と高周波で撮影します。撮影した画像をコンピューター処理して立体画像や断層画像をつくります。被ばくの心配がありません。
  5. カテーテル検査 → 治療
    手首や肘、そけい部から、カテーテルを挿入して心臓まで導き、動脈硬化の部位確認や治療を行います。当会では、手首からカテーテルを挿入する場合が全体の7割です。局所麻酔が必要なため、1泊2日あるいは2泊3日の入院が必要です。

2012年には、326件の血管内治療を行いました。うち、冠動脈疾患(心臓)の治療が64.7%(211例)、末梢(まっしょう)血管(下肢動脈、上肢動脈など)が35.3%(115例)でした。血管内治療件数は年々増えており、高い成功率を上げています。

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あらためて、当科でこだわる“医療の質”とは

チーム医療
個々のスタッフが研さんを積み、職種を超えて、患者さまのために同じ方向性をもって自身の役割を最大限果たします。

長期生命予後をめざした全身的治療
心臓病の治療のみならず、長期生命予後を考えた治療、当科的には全身動脈硬化症疾患の治療、さらに科を超えた全科的治療を行います。

地域医療(病診連携)
地域の皆さまに親しまれる病院であり続けるため、地域の開業医の先生方との連携も密にし、ともに患者さまの治療に当たります。


●「頑固な頻尿でお困りの方へ朗報! 〜間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん)〜

講師:泌尿器科 副部長 兼光 紀幸(かねみつ のりゆき)

ぼうこうは下腹部の中央にあり、体の一番底にある内蔵です。男性の場合は、ぼうこうの下に尿道を取り巻くように前立腺が位置し、女性の場合は、子宮の前下方にぼうこうが位置します。
ぼうこうの役割は、尿を漏らさずにためておくことと、そのたまっている尿を残すことなく排出することです。

「頻尿」とは

尿の回数の異常で、排尿回数が日中8回、夜間2回を超えて増加するものを「頻尿」といいます。尿の回数は、全体の尿量(1日尿量)と、尿意を感じるときのぼうこうの容量(1回排尿量)で規定されます。1日尿量の異常な増加は、頻尿とは別に多尿といい、腎臓の病気(腎不全)や内分泌の病気(糖尿病や尿崩症)などがあり、内科で治療されます。1回排尿量の異常な減少は、ぼうこうや前立腺、尿道の病気であることが多く、泌尿器科で担当します。

「間質性ぼうこう炎」とは

頑固な頻尿、トイレに行ってもすぐにまた行きたくなる、尿を我慢すると下腹部が痛いなどの症状を来たす慢性的なぼうこう炎です。症状は、尿意切迫感を来たす過活動ぼうこうや、細菌感染で起こる急性ぼうこう炎とよく似ていますが、全く別の病気です。
患者さまの訴えは「ぼうこう炎が治りにくい」「尿がたまると下腹部が痛い」「性交時にも痛みがある」「排尿してもすぐまたトイレに行きたくなる」など、さまざまです。

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間質性ぼうこう炎の診断

まずは、症状と経過を十分お聞きして、間質性ぼうこう炎を疑います。ほかの疾患を除外するため、問診や検査をし、排尿の量や勢い、残尿量などを調べます。必要に応じて超音波検査や血液検査も行いますが、ほかの疾患でないことを確認するために行う検査です。

重要な検査

ぼうこう鏡検査が重要です。間質性ぼうこう炎の方は、通常以上に痛みを感じることが多く、外来での施行が難しい場合は、入院のうえ、麻酔をかけて、治療も兼ねたぼうこう水圧拡張術が勧められます。ぼうこう水圧拡張術により、ぼうこう粘膜からさみだれ状の出血を確認できれば、間質性ぼうこう炎と診断されます。

間質性ぼうこう炎の治療

生活上の注意としては以下の3点が重要です。

  1. 水分を十分取って尿を薄める。
  2. コショウ・唐辛子・わさびなど刺激性の食品を控える。
  3. 可能ならぼうこうに尿をためる練習をする。(ぼうこう訓練)

ぼうこう水圧拡張術をすれば、診断の確定と治療が同時にできます。しかし、水圧拡張術の治療効果は数カ月しかありませんので、間質性ぼうこう炎の診断が確定したら、食事面を含めた日常生活の注意が重要になってきます。
ぼうこう内に潰瘍がある重症の方は、潰瘍をレーザーや電気メスで焼くと疼痛が劇的に改善します。
薬物による治療は、保険が適応されているものがないため、使用できるものから選ぶしかありません。アイピーディ(抗アレルギー剤)、トリプタノール(抗うつ薬)などは有効性が報告されています。

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当院での治療実績

ぼうこう水圧拡張術は、厚生労働省による認可を受けた病院しか実施することができません。京都市内では、当院のほかに5病院が認可を受けています。 
間質性膀胱炎治療において、わが国で有数の診療経験をもつ泌尿器科 上田クリニック(烏丸姉小路CUBE OIKEビル)の上田朋宏院長(京都市立病院 泌尿器科 前部長)の指導のもと、治療にあたっています。
過去1年に47人の方にご入院いただき、そのうち42人の方に潰瘍焼灼術を実施しました。

おわりに

頑固な頻尿でお困りの方、ぼうこう炎にかかり、なかなか良くならない方、もしかしたら間質性ぼうこう炎かもしれません。
当院は、間質性ぼうこう炎に対する診断から手術まで行うことができますので、新病院の見物がてら、一度おいでください。


●当院整形外科における身体にやさしい低侵襲治療なう

講師:副院長 整形外科 盛房 周平(もりふさ しゅうへい)

当院の整形外科は、手・足・脊椎、関節、肩肘スポーツに特化しており、常勤医5人が、それぞれの専門分野で診断や治療にあたっています。現在、年間1,200症例のペースで手術を行っています。

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小切開手根管開放術

手根管症候群は、「指先がしびれる・感覚が無い」「夜中や明け方に激しいしびれや痛みで目が覚める」「箸やペンが持てない・ペットボトルのふたが開けられない」「親指の付け根の筋肉がやせてしまった」などの症状が特徴です。
治療は、従来、手掌部小切開法が行われてきました。近年は内視鏡を用いた鏡視下法も増えてきましたが、神経損傷の合併症も起こっており、手外科学会会員の80%は小切開法、20%が鏡視下法を採用しています。当院では小切開法を行っています。

脊椎小切開手術

切開する範囲を小さくし、内視鏡を用いて背骨の周囲の筋肉を温存しながら、除圧や椎体形成などを行います。ナビゲーションシステムを活用し、低侵襲で安全な治療を行います。さらに、最新のMRIやオーアームを導入し、安全性の向上を図っています。

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人工関節小切開手術

皮膚切開を小さくし、筋組織などの軟部組織への侵襲を最小にした「最小侵襲手術」を行っています。手術の前日に入院し、手術の翌日から歩行器歩行を開始、術後1週間でT字杖を用いて歩行、術後2週〜3週で退院できます。

難治性足底腱膜炎に対する体外衝撃波治療

足底腱膜炎とは、ランニング、ジャンプなどの動作の繰り返しで足底腱膜に過度のストレスがかかることにより、踵骨付着部に起きる炎症です。運動時や歩行時に踵部底側に疼痛が起こります。
足底腱膜炎の治療には、保存的治療(局所安静、消炎鎮痛剤の投与、外用消炎剤の塗布など)のほか、体外衝撃波法や、手術的治療(腱膜付着部切離術)があります。当院が導入した体外衝撃波治療装置は、以下の特徴があります。

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肩損傷に対する関節鏡視下低侵襲手術(腱板断裂)

腱板は、肩がスムーズに動くように働く内在筋(インナーマッスル)です。腱板断裂の原因は、外傷性の断裂や変性断裂です。症状は、肩関節の痛み(夜間痛、運動時痛、大結節や上腕二頭筋長頭周囲の痛み)や腱板機能不全(肩挙上困難=肩90°外転付近での痛み、肩甲上腕関節リズムの異常)などです。身体所見に加え、超音波やMRIによる画像診断で断裂の有無や部位、深さ、腱の変性などを確認し、腱板修復術を行います。手術は、従来法(直視下手術)と鏡視下手術がありますが、鏡視下手術の場合、低侵襲であるため術後の疼痛が少なく、早期リハビリテーション開始、早期復帰が可能です。
肩関節治療の基本は、保存療法です。機能診断を行い、不必要な手術は避けます。手術を行う場合は、鏡視下手術で行います。低侵襲なので、術後機能に対する悪影響を回避できます。

新病院での新たな戦略

  1. 整形スポーツの強化
    肩肘スポーツに加え、膝スポーツ分野の拡大・充実
  2. リハビリテーションの充実整備
    アスレチックリハビリテーションセンターの設立、高齢者や生活習慣病対応のメディカルフィットネスセンターの設立
  3. 関節リウマチセンターの設立

生まれ変わった洛和会丸太町病院に、ご期待ください。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録



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