2014年03月19日

第161回らくわ健康教室「脳卒中を防ぐために 〜リスク減らしが最大の保険〜」

2013年9月10日開催の第161回らくわ健康教室は、「脳卒中を防ぐために 〜リスク減らしが最大の保険〜」と題して、洛和会音羽病院 脳神経外科・脳卒中センター 所長で、医師の岡本 新一郎(おかもと しんいちろう)が講演しました。


概要は以下のとおりです。

P_lecture_2 はじめに

本日は、「脳卒中とはどんな病気か」「脳卒中のリスクファクター(危険因子)」脳卒中の予防(どれだけリスクを減らせるか、リスクを減らす方法)、についてご説明します。

「脳卒中とはどんな病気か」

脳卒中とは、脳の血管の障害によって急に症状が起こる病気のことです。
脳卒中には、次のようなものがあります。

  • 脳の動脈が詰まる → 「脳梗塞」
  • 脳の動脈が切れる → 「脳出血」
  • 動脈瘤が破れる  → 「くも膜下出血」

脳卒中は重い「要介護」になりやすい

政府の2010年国民生活基礎調査によれば、要介護になる原因としては、脳卒中が24.1%と全体の約4分の1を占めています。以下、認知症20.5%、衰弱13.1%、骨折・転倒9.3%と続きます。脳卒中は数が多いだけでなく、要介護度が高いことも特徴です。

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脳卒中は動脈硬化と関係が深い

動脈硬化には、次のような特徴があり、心筋梗塞、脳梗塞、末梢(まっしょう)動脈疾患の主な原因となります。

  • 動脈の血管壁が老化して硬くなる
  • 血管壁に脂肪の塊がこびりついて血行が悪くなる
  • 血液が詰まりやすくなる
  • 加齢、糖尿病、高血圧、喫煙などが主な原因
  • 特に悪化させる原因は、いわゆる悪玉コレステロール

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「脳卒中のリスクファクター

脳卒中のリスクには、発症リスク(初めて脳卒中になるリスク)と、再発リスク(再び脳卒中を起こすリスク)の二つがあります。また、リスクファクターには、適切な介入(改善策や治療)により管理できるものと、例えば、年齢・性別・人種などのような管理が不可能なものがあります。大事なのは、変えることができるリスクを少しでも減らすことです。

介入(治療や予防)可能なリスクファクターと相対リスク

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介入によってリスクが減らせます

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「脳卒中の発症予防」

脳卒中の発症を予防するために、特に大切なリスクファクターについて説明します。

(1)高血圧症

高血圧症とは、血圧の上(収縮期)が140mmHg以上または下(拡張期)が90mmHg以上の場合を言います。正常血圧は、上が130mmHg未満かつ下が85mmHg未満です。
高血圧症は、脳出血と脳梗塞に共通する最大の危険因子です(相対リスクは8倍)。血圧が高いほど、脳卒中になりやすくなります。高齢者(65歳以上の人の3分の2以上が高血圧症)の増加や生活習慣の悪化で、高血圧の患者さまは増えています。一方で、介入すること(高血圧症を治すこと)によって脳卒中になるリスクを32%も減らすことができます。

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(2)喫煙

喫煙は、百害あって一利なしです。脳卒中以外にも多くの病気の原因になります。少ない本数でも害になり、また、周囲の人にも害を及ぼします(受動喫煙)。禁煙すれば、健康を取り戻せます。

(3)アルコール

飲酒量と、脳出血やくも膜下出血の発症率との間には、直線的な正の相関関係があります。大量飲酒者では、機会飲酒者と比べて、脳卒中の発症率が68%増加します。特に、くも膜下出血の発症率が著しく増加します。
適度なアルコールとは、1日にビールなら中ビン1本、清酒なら1合(180ml)、ウイスキーならダブル1杯(60ml)、焼酎なら1合(180ml)、ワインなら1杯(120ml)程度です。いずれも純アルコールで約20g程度です。

(4)糖尿病

糖尿病は、多くの場合、発症初期には症状がなく、健康診断で、空腹時血糖値が高いことで発見されます。
糖尿病だと動脈硬化になりやすくなります。また、高血圧や脂質異常にもなりやすく、その結果、一層動脈硬化になりやすくなる傾向があります。血糖値やヘモグロビンA1C を下げること自体よりも、生活習慣改善、厳重な血圧管理などが、脳卒中予防に効果があります。糖尿病の相対リスクは正常の人の約2〜6倍ですが、積極的治療で約60%、リスクを減らせます。

(5)脂質異常症

脂質異常症は、健康診断の血液検査で見つけることができます。空腹時血糖の結果が、次の数値の人が脂質異常症に該当します。

  • 悪玉コレステロール・・・140mg/dl以上
  • 善玉コレステロール・・・40mg/dl未満
  • 中性脂肪・・・・・・・・150mg/dl以上

総コレステロール値が高すぎると脳梗塞になりやすくなります。また、高血圧症に加えて総コレステロール値が低すぎると、脳出血になりやすくなります。善玉コレステロールが多いほど、脳梗塞になりにくく、悪玉コレステロールが多いほど脳梗塞になりやすいことなどがわかっています。
脂質異常症の治療は、食事などの生活習慣改善に加えて、必要であれば医師の指示に従って薬物療法が行われます。

(6)不整脈

不整脈のなかでも、心房細動は、心臓がふるえている状態で、脈が乱れます。心房細動があると、心臓の中に血の固まり(血栓)ができやすく、それがはがれて脳の血管に流れていき、詰まってしまいます。脳梗塞(発症7日以内)の患者さまの約20%に心房細動が見られます。心房細動が見つかった方は、すぐに主治医と相談して、血液が固まるのを防ぐお薬を服用すると、脳卒中の発症を減らせる可能性があります。

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(7)肥満

肥満とは、BMI25以上をいいます。(標準はBMI22)

<BMIの計算法>
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

腹部肥満とは、腹囲が男性で85cm以上、女性で90cm以上をいいます。肥満の人は高血圧、脂質異常症、糖尿病などになりやすいです。
肥満の2大要因は、食べ過ぎ(エネルギーの取り過ぎ)と運動不足です。

<参考>脳卒中が発症したら

脳卒中の治療技術は、近年、進歩しています。発症したら、ためらわずに救急車で病院へ行きましょう。洛和会音羽病院では、脳卒中ケアユニット(SCU)という、これまで以上に高度な診療体制を整えています。

まとめ

  • 脳卒中は予防がかなり可能です。
  • 予防の要点は、リスク管理です。
  • まず、加齢に伴い血圧に注意しましょう。
  • 動脈硬化の進行を抑えるために、生活習慣に気をつけましょう。
  • 日ごろの適切な食事、運動を心掛け、悪いものは退けましょう。
  • 定期的な健康診断を必ず受けましょう。

日本脳卒中協会による「予防10か条」は次のとおりです。

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