2014年07月25日

第198回らくわ健康教室「骨粗しょう症について知ろう! 〜いつまでも背筋を伸ばして歩くために〜」

6月25日開催のらくわ健康教室は、「骨粗しょう症について知ろう! 〜いつまでも背筋を伸ばして歩くために〜」と題して、洛和会音羽病院 内分泌内科 部長で医師の三浦 晶子(みうら まさこ)が講演しました。


概要は以下のとおりです。

骨の働きMiuradr_2

骨にはさまざまな働きがあります。

  • 体を支える柱となる
  • 骨格を形成し、脳や内臓などを収めて保護する
  • 骨と筋肉により関節が動き、運動ができる
  • カルシウムやカリウムなどの栄養素を蓄える
  • 血液をつくる
  • ホルモンをつくる

などが挙げられます。

骨粗しょう症とは?

「骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されています。以前は骨密度ばかりが強調されていましたが、近年は骨質も重要であることがわかってきました。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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わが国の骨粗しょう症患者数は、1,280万人(うち女性980万人、男性300万人)で、年間発症者数は97万人(うち女性81万人、男性16万人)もいます。ホルモンとも関連が深く、特に女性は閉経期を迎える50歳代以降、年をとるとともに腰椎骨折や大腿骨折の発症者が急増します。

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脊椎圧迫骨折は繰り返します

「脊椎圧迫骨折」とは、背骨(脊椎)が押しつぶされるように変形してしまう骨折です。1椎体(ついたい)に発生すると、周囲の椎体も骨折しやすくなり、くさびが連なるような形で背中が丸くなります。進行すると、内臓を圧迫し、胃の中のものが逆流する恐れなどがあります。
介護保険の認定で「要介護」となった主な原因のうち、骨粗しょう症による「骨折、転倒」は1割近くあります。(1位は脳血管疾患で24.1%、続いて認知症20.5%、高齢による衰弱13.1%、骨折・転倒9.3%、関節疾患7.4%)

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因は多岐にわたります。閉経や加齢などが原因で起こる「原発性骨粗しょう症」が数の上では一番多いですが、それ以外にも、各種ホルモンの異常を来す内分泌疾患や栄養障害を来す疾患、薬物によるものなど、さまざまな原因があります。また、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)などの生活習慣病で骨質が悪くなり発症することもあります。

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骨粗しょう症の症状

以下の項目で、何か思い当たる症状はありませんか?

  • 背中が曲がってきた
  • 身長が縮んできた(若いときより3〜4cmも)
  • 立ち上がるときなどに背中や腰が痛む
  • 重いものを持つと背中や腰が痛む
  • 背中や腰の強い痛みで寝込んでしまう
  • 転んだだけで骨折してしまう
  • 常に前かがみの姿勢でいるため、胃もたれや息苦しさを感じる

このような症状がある方は、ぜひ一度、検査を受けてください。

骨粗しょう症の検査方法

  • 身長測定
    …若いときの身長と比べてどのくらい縮んでいるかは、骨粗しょう症の指標になります。
  • X線検査
    …X線写真で、主に背骨(胸椎や腰椎)を確認します。
  • 骨代謝マーカー
    …血液や尿を使って骨代謝マーカーを測定することにより、現在の骨の新陳代謝の速度を知ることができます。骨の吸収を示すマーカーが高いと、今後骨密度が低下しやすい、骨折しやすいということが予想されます。
  • 骨密度検査
    …DXA法:現在、骨粗しょう症診断のスタンダードな方法です。実際に骨折が起きやすい腰椎、大腿骨近位部、前腕骨について測定することができます。
    …MD法:手のエックス線写真から骨密度を割り出す方法です。
    …QUS法:超音波を用いて測定する方法です。装置が小型軽量で移動が可能なため 健診で用いられることが多いですが、誤差が大きく診断には用いられません。
  • 骨折リスク予測(FRAX)
    …今後10年間の骨折リスクを評価する方法としてWHO(世界保健機関)が開発した質問票で、12個のチェック項目からなります。骨密度を測定できなくても各個人の骨折リスクを評価できる利点がありますが、骨粗しょう症の有無を判断することはできないなどの欠点もあります。

骨粗しょう症と診断されたら

診断は、骨折の有無と骨密度検査を基本に行います。人によって骨粗しょう症の症状や程度はさまざまですが、骨粗しょう症と診断されたら、できるだけ早く治療や骨折予防対策を始めましょう。(日本における大腿骨近位部骨折は年間約12万件。このうち10%は1年以内に死亡しています。骨折は要介護となる主な原因の一つです)
適切な治療や生活習慣の改善により、骨密度の低下を食い止めることができます。骨粗しょう症の治療の目的は、骨折の予防です。骨折を予防するためには転倒の予防も大切です。

骨粗しょう症の治療

骨粗しょう症の治療は、食事療法 運動療法 薬物療法の3つを並行して行っていきます。

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食事療法

骨にとって特に重要な栄養素は、カルシウム(骨の構成に必要な栄養素)、ビタミンD(カルシウムの吸収を促進させる栄養素)、ビタミンK(骨にカルシウムが吸着するのを助ける栄養素)です。さらに骨質を高めるためには、ビタミンB6や葉酸、ビタミンB12も大切です。バランス良く、乳製品や海産物、大豆製品などもできるだけ食べましょう。1日に必要な摂取量は以下のとおりです。

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ビタミンDは、食事だけでなく日光浴により皮膚でもつくられます。夏なら1日に木陰で30分、冬なら1時間程度、手や顔に日が当たれば十分です。ガラスは紫外線をあまり通さないため、窓越しの日光浴は十分な効果が望めません。近年、特に高齢者のビタミンD不足が多いことがわかっています。

運動療法

運動は、骨量を増加させるだけでなく、筋力増強や反射神経の強化により、転倒の防止にも役立ちます。荷重をかける運動が効果的です。

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「かかと上げ運動」は、安定したいすや壁などに両手を置いて、両足を肩幅に開きます。つま先に体重をかけるように両足のかかとを挙げて、ストンと下ろします。ひざと腰は伸ばしたまま行います。1日50回ほどが目安です。無理なくできるところから始めましょう。ひざ痛や腰痛のある方は無理のない範囲で行ってください。

ウオーキングも有効です。ウオーキングは、

  • 1回30分程度を目安に
  • 胸を張り、背筋を伸ばす
  • 歩幅はできるだけ広めに
  • つま先で地面を蹴り、体を前に進める
  • 着地はかかとから歩調はリズミカルに
  • 腕は前後に大きく振る
  • 顎を引く
  • 視線はやや遠くに

などに注意して行いましょう。

また、骨折を予防するには、転倒しないことも重要です。

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薬物療法

骨粗しょう症治療の薬は多種類あります。薬の作用や患者さまの状態によってさまざまな選択肢があり、医師は個々の患者さまにあった薬を処方します。ご自分の飲んでいる薬について気になる方は、一度、外来で医師にご相談ください。

いつまでも背筋を伸ばして歩くために

  • 骨粗しょう症による骨折は、背中が丸くなったり、寝たきりになったりする原因になります。
  • 気になる症状がある場合は受診し、骨粗しょう症の検査を受けてみましょう。
  • 骨粗しょう症の治療法は、食事療法、運動療法、薬物療法の3つを並行して行うと効果的です。また、転ばないようにすることも、とても大切です。
  • 骨粗しょう症治療薬の選択肢は、以前に比べ、ずいぶんと増えています。お一人おひとりに適した選択をする必要があります。健診などで骨密度低下を指摘された場合は、専門医にご相談ください。

質疑応答から

Q:歯の治療中は、骨粗しょう症の薬は飲めないと聞きましたが。
A :薬によって、そのような場合があります。歯の治療を先に行う、骨粗しょう症の薬服用をしばらく中断して歯の治療を受ける、悪影響の出ない骨粗しょう症の薬を使うなどの方法が考えられますが、患者さまの状態にもよりますので、主治医とよく相談してください。  


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