2014年09月01日

第196回らくわ健康教室「禁煙のススメ」

6月11日開催のらくわ健康教室は、「禁煙のススメ」と題して、洛和会丸太町病院 救急・総合診療科 医師の前田 遥(まえだ はるか)が講演しました。


概要は以下のとおりです。

3745はじめに
世界中で6.6秒に1人が、たばこ(喫煙)が原因で亡くなっています。
今回は、よく聞かれる

症状がないのに、たばこをやめないといけないの?
禁煙したら良いことがある?
やめたくてもやめられない!
医療機関で禁煙できるって本当?

といった質問にお答えする形で、禁煙の大切さについて説明します。

症状がないのに、やめないといけないの?
喫煙は、さまざまな病気にかかるリスクを高めます。非喫煙者と比較した喫煙者の死亡率は以下のとおりです。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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喫煙が生存率に与える影響の調査では、35歳時点の生存率を100%とした場合、70歳時点では非喫煙者は81%の生存率なのに対し、喫煙者は58%と、23%もの差がついています。

喫煙は家族にも影響、美容面でも
喫煙がもたらす影響は、ご家族にも及びます。

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禁煙したら良いことがある?

健康面や金銭面で、さまざまな良いことがあります。

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金銭面でも、例えば1日にたばこ1箱を吸う人の場合、8〜12週間の支出が22,400円〜33,600円なのに対し、同じ期間、禁煙治療を受けた人の自己負担額は12,000円〜19,000円で済みます。禁煙で浮いたお金の額も、積算すれば大変な額になります。

やめたくてもやめられない!
「今度こそやめる!」と決心したのに、やめられないのはなぜでしょう? 自分の意志が弱いからだと思っている方もおられるでしょう。でも本当は、たばこに含まれるニコチンによる「ニコチン依存症」のせいなのです。実際に禁煙を始めると、以下のような症状が現れます。

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禁煙するとニコチン切れの症状が現れますが、この間のつらい症状を乗り越えてしまえば、大丈夫です。治療ではこれらのつらさを軽くすることができます。

ニコチン依存症かどうかを判定するテストがあります。

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10項目のうち5つ以上当てはまれば、ニコチン依存症と判定されます。

医療機関で禁煙できるって本当?
医療機関で、保険診療で禁煙治療ができる患者さまには条件があります。

  • 直ちに禁煙しようと考えている。
  • ニコチン依存症テストでニコチン依存症と判定された。
  • 1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上。
  • 禁煙治療を受けることに文書で同意している。
              

これら4つの条件を全て満たしていれば、保険診療で禁煙治療ができます。
「たばこを吸いながら治療を受ける方法はないですか?」と聞かれることもありますが、そんな方法はありません。「きっぱりたばこと縁を切ろう」という患者さまが対象です。

治療にはどんな方法がある?
保険が適用されるのは、ニコチンを含まない飲み薬による方法と、貼り薬のニコチンパッチによる方法です。禁煙成功率は、飲み薬のほうが高いといわれています。ニコチンパッチは自分で薬局で購入することも可能です。ほかに市販薬としてニコチンガムもあります。

<ニコチンを含まない飲み薬による治療>
飲み薬による治療のメカニズムは以下のとおりです。

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内服による治療は、12週間が基本です。禁煙治療の期間が短くても禁煙に成功した人もいますが、ごくわずかです。12週間の禁煙治療を中断しないことが大切です。治療中止および終了後、禁煙を9カ月間続けられている人の割合は以下のとおりです。

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<ニコチンパッチによる治療>
ニコチンパッチは、ニコチン置換療法により離脱症状を一時的に軽減し、禁煙を補助する目的の貼り薬です。イライラを軽くする効果などがあります。ただし、貼るだけで禁煙できる魔法の薬ではありません。今までの喫煙習慣に代わる生活習慣を身に付ける必要があります。

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貼る場所は、腕でもお腹でも背中でもOKです。かぶれやすい方は、日によって場所を変えるほうが良いでしょう。お風呂に入った後、貼ってから寝る方が多いです。

内服薬・ニコチンパッチの、自己負担の費用は以下のとおりです。(3割負担の場合)

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禁煙のコツ
なぜ禁煙したいのか、禁煙をする前に理由を挙げておくと効果的です。例えば、自分と家族の健康のため、たばこ代を浮かせて貯金したい、息切れせずに階段を上がれるようになりたい…などです。禁煙の意欲が向上し、再び喫煙したくなったときに我慢する支えになります。

禁煙すると太る人が多いといわれます。体重は平均して2〜3kg増える人が多いようです。理由としては、禁煙により味覚や胃腸の調子が改善されるため、ご飯がおいしくて、つい食べ過ぎてしまうことや、たばこがなくなって口寂しいため、つい食べてしまうことが挙げられます。口寂しいときには、ノンシュガーのガムやアメ、昆布などを活用しましょう。

禁煙外来に興味をもたれたら
洛和会丸太町病院では、随時、救急・総合診療科外来で受け付けています。希望者はその日から、禁煙に取り組めます。一緒に頑張りましょう。

質疑応答から
Q:禁煙外来に来られる患者さまの動機は?
A:病気が原因の方が一番多いです。心臓が悪い方や、肺炎になってから医師に禁煙を勧められた方などです。

Q:たばこをやめたら必ず太るのですか?
A:喫煙していたころより食事がおいしく感じられるので、つい食べ過ぎてしまうようですが、食べ過ぎなければ太りません。

Q:飲み薬による治療とニコチンパッチの両方を同時にはできますか?
A:一度に両方はできません。

Q:薬の副作用は、ないのですか?
A:アレルギーや眠気、吐き気の出る方がまれにおられます。飲み薬の治療は、最初は夜に飲んでいただくことから始めて、様子を見ます。問題なさそうなら、朝と夕の1日2回服用します。

Q:禁煙に成功しても再び喫煙してしまう人はいないのですか?
A:いなくはありません。禁煙を続けるには、ご本人の努力が必要で、医療者はそれを支えるのが役割です。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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