2014年09月22日

第197回らくわ健康教室「肺の病気のいろいろ」

6月14日開催のらくわ健康教室は、「肺の病気のいろいろ」と題して、洛和会音羽病院健診センター 所長で医師の畠中 陸郎(はたけなか りくろう)が講演しました。


概要は以下のとおりです。

Img_3472_3はじめに

肺の病気はたくさんあります。今回は、風邪から肺がんまで11の病気について、ポイントを絞ってお話しします。

肺の構造

肺は胸の肋骨の内側にあり、心臓を包み込むようにした位置にあります。心臓がやや左側に位置するため、肺葉は左に2枚、右に3枚あります。(下図参照)

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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<風邪>

風邪はウイルスによって起きる症状です。鼻水や熱が出ます。よく「風邪は万病のもと」と言いますが、風邪そのものが悪いというわけではありません。ほかの病気にかかったとき、風邪によく似た症状が現れることが多いので、「風邪は万病のもと」と言われるのだと思います。
うがいの効果については、さまざまな種類のうがい薬が出ていますが、水でも紅茶でも同じような効果があるという研究もあります。要は、喉の奥についた細菌を、粘液ごと剥がして外に出せば良いわけです。扁桃(へんとう)の内部に細菌が入ってしまったら、うがいの効果はありません。
風邪をひいた際の入浴については、「風邪をひいたら、お風呂はだめ」と考える必要はありません。特に、汗をかく夏場には、さっとお風呂に入って汗を流すことは問題ありません。ヨーロッパの国々では、風邪を引いて熱が出たら水風呂に入って熱を冷ますということも行われています。神経質にならずに、1〜2分お湯に漬かってさっと出る程度なら問題ありません。

<インフルエンザ>

インフルエンザにかかって悪化すると、肺炎や脳炎になる恐れがあります。インフルエンザ予防のワクチン接種は、ぜひ受けてください。まれに、ワクチン接種による脳炎発症がありますが、インフルエンザにかかって起こる肺炎や脳炎の多さとは比べものになりません。

<肺炎>

肺炎にはいろいろな種類がありますが、特に気を付けたいのは「肺炎球菌」による肺炎です。ひどい症状を引き起こし、治りにくい肺炎で、脊髄や脳にも悪さをすることがあります。肺炎患者さま全体の3割ぐらいは、この肺炎球菌が原因です。
肺炎球菌の予防には、ワクチン接種が有効です。心臓病や糖尿病、慢性肝炎、こうげん病などを患っている方は抵抗力が弱いので、ぜひ接種してください。以前は生涯に1回で良いと言われていましたが、今は5年に1回接種したほうが良いことがわかりました。しかし、5年たたずに再びワクチンを打つのは危険です。また、インフルエンザ予防のワクチンとは別のもので、インフルエンザと肺炎球菌のワクチンの両方を接種するときは、時期を少しずらして行います。65歳以上で複数の病気のある方は、主治医とワクチン接種についてご相談ください。

「レジオネラ肺炎」も要注意です。レジオネラとは退役軍人の意味で、20世紀後半、アメリカの退役軍人が集団で発生してこの名が付きました。レジオネラ菌そのものは、空中や水の中など、どこにでもいる菌で、体の弱ったときになりやすい肺炎です。水道水の中にもいて、24時間沸かし続けるタイプの風呂(家庭の24時間風呂やスーパー銭湯など)にも多く、注意が必要です。
夏特有の肺炎には、カビが原因のものがあります。カビは、クーラーの中や、麦わらの中にも発生することがありますので、掃除や消毒をこまめに行ってください。

<結核>

40〜50年前は、結核にかかると長期入院が必要で、良い薬がなかったり、他人にうつる心配もありました。しかし現在は、発病しても2〜3カ月の入院で済み、後は薬で抑えられるようになりました。近年は、発症が少ないと言われますが、それでも日本では、欧米と比べて5倍ほど発症例が多く、油断できません。結核菌は体内に入ってもすぐには反応が現れません。周囲に結核患者が出た場合、接触してから2カ月後ぐらいに血液検査をし、反応がプラスと出ると菌が体内に入ったと判明します。X線検査を受けて、何も問題なければ予防投薬し、さらに2年間は半年ごとにX線写真を撮り、発病していないかを調べます。

<非結核性抗酸菌症>

非結核性抗酸菌症は、結核菌以外の抗酸菌によって引き起こされる病気です。菌を飲み込んだ際、普通の菌は胃の中に入ると死ぬのですが、この菌は死なない点が特徴です。土の中にいて、体の弱った人の体内に入り込みます。患者さまは中高年の女性に多く、たまに痰に血が混じったりします。他人にはうつりませんが、肺を中心に体の広い範囲に害を及ぼすので、2年ほどは薬を飲む必要があります。

<肺気腫(COPD)>

この病気の原因は九分九厘、たばこです。肺の中には空気を取り込む袋がたくさんありますが、ちょうど大根に鬆(す)が入るように、袋の働きが悪くなって酸素を取り込む力がなくなります。たばこをやめないと、いずれは酸素ボンベを引っ張る生活になります。肺ドックで指摘され、たばこをやめる人も多いようです。

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<ぜんそく>

アレルギー症状で気管支が細くなり、肺の中に酸素が入らなくなります。原因は、体質やハウスダスト、猫の毛、カビなど、さまざまです。以前は薬が効きにくかったのですが、今は吸入ステロイドのおかげで、亡くなる人がぐっと減りました。それでも、良くなったからとステロイド吸入をやめてしまうと、掃除をしていて急に息苦しくなって救急車を呼ぶというようなことになるケースが多くあります。
まれに、アスピリンぜんそくの人や、貼り薬でもぜんそくが起きる人がいます。

<睡眠時無呼吸症候群>

寝たときに舌が気管の入り口をふさぐことが原因です。太っている人に起こりやすい特徴があります。太っている人は舌も太っていて、

気管の入り口の隙間が狭い
                ↓
大きな息をして空気をすい込む
                ↓
大きな息をずっと続けると体の中に酸素が入りすぎて体がアルカリ性になる
                ↓
脳の呼吸中枢が息を止めようとする
                ↓
酸素が減りすぎると呼吸中枢が呼吸のスイッチを入れて呼吸を再開する

というように、この症状が引き起こされます。1回の呼吸停止が10秒を超えると睡眠時無呼吸症候群に該当します。これまでで無呼吸の時間が一番長かった人は、なんと3分間でした。こうなると顔は真っ青になり、心筋梗塞などによる突然死を招く恐れがあります。また、脳の呼吸中枢がいつも起きている結果、日中でも眠くて仕方がないといったことが起こり、仕事上の安全を脅かしたりもします。
睡眠時無呼吸症候群の予防は、体重を減らすことのほか、マウスピースを入れて舌が下がらないようにする、息の通りを良くする手術を受ける、鼻に呼吸器を付けて無理やり空気を送り出す「CPAP(シーパップ)」という器具を使用する方法もあります。さまざまな治療法があるので、医師に相談すると良いでしょう。

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<アスベスト(石綿)の被害>

石綿の粉が空中で舞って、吸い込むことで体に害を与えます。長年吸い込む環境にいると、肺がんや中皮腫の原因になります。

<自然気胸>

肺に穴が開いてパンクしたような状態になります。穴からもれた空気が肺を押さえると苦しくなります。若い人に多く、背が高くて胸板の薄い男性が要注意です。背が伸びて体格が大きくなるスピードに肺が追いつかない状態で、肺が上に引っ張られて、一部が袋状に膨らんでパンクします。治療は、胸に細い管を入れて空気を吸い出して穴をふさぐ治療法や、手術があります。

<肺がん>

I期からIV期までステージがあり、早期に見つけて手術することが一番です。痰に血が混じる、息をすると痛いなどの症状があれば、早く受診してください。
近年、PM2.5が話題になっています。1,000分の2.5ミリという大きさで、排気ガスや火山灰、山火事の灰、調理などでも出てきます。肺の中に入って咳などを引き起こします。PM2.5の量が、1立方メートル中に35マイクロメートル(1,000分の35メートル)を超えない環境にいることが予防になります。ちなみに、居酒屋では500〜1,000マイクロメートル、家庭内のタバコでは100〜200マイクロメートルあると言われていますので、ご注意ください。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3

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