2015年03月03日

第178回らくわ健康教室【介護版】「施設ケアマネの取り組み」

2014年1月25日開催のらくわ健康教室は、「施設ケアマネの取り組み」と題して、洛和ヴィラ大山崎 係長の介護福祉士・介護支援専門員 河村 憲(かわむら けん)が講演しました。


概要は以下のとおりです。

ブログ用IMG_9597.jpgはじめに

洛和ヴィラ大山崎は、特別養護老人ホーム(以下、特養)です。私はそこで、施設ケアマネジャー(以下、ケアマネ)として働いています。本日は、日本の高齢者人口の概要を説明したうえで、特養などの施設や、施設ケアマネの取り組みについてお話しします。

高齢者人口と認知症高齢者

2011(平成23)年版の高齢社会白書によれば、日本の高齢者(65歳以上)人口は、約2,958万人、総人口に占める割合(高齢化率)の、23.1%(5人に1人)です。これに対し、認知症高齢者の数は、2012年が305万人、2020年が410万人、2025年が470万人と推計されています。

介護保険施設とは

以下の3種類の施設があります。

  • 介護療養型医療施設: 医療依存度が高い方(酸素吸入が必要など)が対象
  • 介護老人保健施設(老健): 病院と在宅の中間的存在(リハビリテーションを受けられるなど)
  • 介護老人福祉施設(特養): 在宅での生活が困難な方が対象

特養に入所するためには

まず、要介護認定を受ける必要があります。ご本人またはご家族が住んでいる市町村の窓口で申請してください。原則30日以内に認定審査の結果が通知されます。認定は、軽いほうから

  • 要支援1、2
  • 要介護1、2、3、4、5

の7段階に分けられます。
このうち、特養への入所は、要介護1〜5の認定者が対象です。介護予防目的の短期入所は、要支援の認定者でも可能です。 

特養ってどんなところ?

身体的な介護にとどまらず、利用者さまの個別の生活を可能な限り支援し、実現することを目的とする「生活の場」です。
従来型と新型特養(個室完全ユニット型)があります。新型特養のユニットケアは、10人を1ユニットとしてケアします。一般に、入所者の要介護度は、要介護3〜5の方が多いです。

特養への入所の申し込み方法

施設への申し込み方法は、

  • 入所希望の施設に直接申し込みをする。
  • 居宅介護支援事業者に紹介してもらう。

の二通りがあります。利用料は以下のとおりです。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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ユニットケアのメリット

従来型の大部屋方式と違って、個室型のユニットケアは、専用居室費が掛かるものの、以下のようなメリットがあります。

  • 入居者さまのプライバシーがより多く確保された生活空間を持つことができる。
  • 「自分の生活空間」と、同ユニット内の入居者さまが交流できる空間(共有スペース)が区別でき、入居者さまのストレス軽減につながる。
  • 個室近くに共有スペースを設けることで、ほかの入居者さまと潤滑な人間関係が築け、相互の交流が進む。
  • 利用者さまのご家族が気兼ねなく入居者さまを訪問できる。
  • インフルエンザなどの感染症の防止に効果がある。

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入居者さまの個室の一例。家具は住み慣れたお宅から持ってきてもらいました。手前のたんすは、伝い歩きができる入居者さまに合わせた高さにしています。

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施設内のお風呂。左手前はバスボードと言い、浴槽の両縁に渡して固定し、入居者さまに座ってもらい、浴槽に入っていただきます。左奥のいすは、立位や座位が不安定な方が利用します。正面奥のリフトにつなぎ、いすごと持ち上げて浴槽に運べます。

入居者さまの生活(洛和ヴィラ大山崎では)

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入浴は週2回、シーツ交換は週1回行います。

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お花見や散歩を兼ねて、近所のスーパーへの買い物や外食に出かけることもあります。

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左は餃子づくり、右は豆のさや取り。1日1品は、利用者さまと相談してメニューを決めます。利用者さまの方が詳しいことも多々あります。

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年2回、家族交流会を行っています(左上写真)。年4回の認知症サポーター養成講座(左下写真)や、毎月3回の作業療法士による頭の体操(右側写真:「みんなでいこカフェ」の様子)もあります。

施設ケアマネの取り組み

ケアマネには、施設ケアマネと居宅(在宅)ケアマネの2種類があります。
  • 施設ケアマネ:
    施設入居者さまのケアプランを作成するのが役割です。
  • 居宅(在宅)のケアマネ:
    居宅サービス(ヘルパー、デイサービス、訪問看護など)を利用するためのサービス調整を行ったり、利用者さまのサービス利用限度額などを調整してケアプランを作成します。
施設ケアマネには、居宅サービス(ヘルパー、デイサービス、訪問看護など)を利用するためのサービス調整がありません。特例がない限り、施設サービスのなかでケアプランを作成するのが施設ケアマネです。

ケアプランって?

個々の状況や希望に合わせたサービス計画です。一定期間の計画(1〜3カ月)を立てます。生活していくうえでの要望や体の状態に変化がある場合には、新たな援助目標を設定し、ケアプランを作成します。

生活相談員って?

社会福祉主事任用資格と同等以上の能力があり、適切な相談、援助などを行う能力を有すると認められる者とされています。特別養護老人ホーム、指定介護老人福祉施設、通所介護事業所などに配置され、利用者さまの相談、援助などを行う者います。

サービス担当者会議って?

ケアプラン作成のための話し合いのことです。利用者さま自身やご家族、それぞれの事例が抱えている問題を、会議における話し合いによって解決することを中心とした問題解決型のカンファレンスです。このほか、職員間、各職種間で利用者さまやそのご家族についての情報交換、意見交換を中心とした情報共有型のカンファレンスもあります。
洛和ヴィラ大山崎では、個々の入居者さまを対象に、3カ月ごとに担当者会議を行っています。3カ月ごとに行う理由は以下のとおりです。
  • ご家族に直接、利用者さまへの日々の関わりを説明できる
  • 最近の利用者さまの様子などを近況報告することができる
  • 職員とご家族とのコミュニケーションを図ることができ、お互いに情報共有できる
  • ご家族と職員の間の信頼関係を築くことができる
  • 3カ月の期間で、利用者さまの状態を細かく把握し、その情報をケアプランに反映させることができる

モニタリングって何?

サービスが計画通りに実施されているか、それによって利用者さまのニーズが充足しているかなどを確認する過程です。モニタリングは、入居後1週間の時点で介護士や医療担当者、リハビリテーションの専門家が行い、必要と思われればケアプランの変更も行います。

事例から考える

5年前に入居されたものの、その後一度も帰宅されたことがない入居者Aさんが「家に行きたい(戻りたい)」と訴えられました。Aさんは、よく食事中に眠ってしまうため、食事の介助が必要です。また、車いすの生活で、ベッドから車いすへ移る時にも介助が必要でした。ご家族、他職種と連携して、Aさんの願いをかなえようと思い検討したのは、体調はどうか(医療職と)、ご自宅で車いすが使えるか(作業療法士と)、食事の方法はどうするのか…などです。結果的には、半日ほどでしたが帰宅が実現できました。
施設に戻られてからのAさんは変わりました。食事のときもしっかり起きて食べられるようになり、ベッドから車いすへの移乗も、自分で立ち上がれるようになりました。ご家族も、帰宅したAさんの姿に「懐かしい」「気兼ねなく過ごせている」と感じておられました。
このように、施設に入居しても、家に帰ることはできます。これからも、利用者さまの要望がかなうように関わっていきたいです。

質疑応答から

Q:要介護度を自分で判断できますか?
A :車いすの方なら要介護度いくつ、といった基準はありません。認定調査員が、さらに詳しい状態をチェックして認定します。

Q:入居待ちの待機者は?
A :洛和ヴィラ大山崎の場合、待機者は200人ほどおられます。似たような施設が多いので、複数の施設に申し込んでおられるケースが多いようです。

Q:特養に入れない場合はどうしたらいいですか?
A :洛和会ヘルスケアシステムでは、さまざまな介護サービスを提供しています。「夜だけ見守ってほしい」「安否確認してほしい」といったご要望にも対応できる場合がありますので、お住まいの地域の地域包括支援センターなどにご相談ください。

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