概要は以下のとおりです。
◆はじめに
◆リハビリの流れ
例えば80歳代の女性が「自宅でうっかり敷居につまずいて、大腿骨頸部骨折。病院で手術をしました」という場合。
<急性期リハビリ>
治療中心の時期ですが、リハビリは術後翌日から始まります。安静にしておくことの弊害を防ぐためです。手足の関節を動かす運動、車いすに乗る練習、トイレの練習、平行棒で歩く練習などをします。
<回復期リハビリ>
治療は落ち着いたが、さらに集中的なリハビリが必要な場合に行います。退院をめざして、杖で歩く練習や、階段を昇り降りする練習、お風呂に入る練習、家事動作の練習、外出・外泊訓練などをします。さらに、リハビリスタッフによる退院前訪問や、自宅の環境調整(手すり設置など)を行います。日常生活動作が十分にできるようになれば退院です。(急性期リハビリの後、直接退院が可能な方は、回復期リハビリを省く場合もあります)
<生活期リハビリ>
ご自宅で訪問リハビリを受けながら、活動的な日常の暮らしを続けられるように行います。
ご自宅での生活動作の練習。ご自宅のお風呂に入る動作練習・環境の設定。自主トレーニングの指導。屋外を歩く練習(近所のスーパーまで)。生きがいづくり、趣味の再開などです。
◆退院後の心配事
無事退院となったものの、「入院中はできていたのに、家ではできない」「どうやって介助をすればいいのかわからない」「退院後安定して生活が送れていたのに、風邪で寝込んだあと、介助の負担が増えてしまった」などの心配事を抱える方が多くおられます。その結果、
不活発な生活→筋力・体力の低下→歩行能力の低下→閉じこもり→気力・意欲の低下→生きがいの喪失→不活発な生活…
と悪循環になりがちです。
◆退院後の心配事を解消する訪問リハビリテーション
自宅は、病院と違ってさまざまな障がいがあります。退院して楽しい生活を送るためには、継続してリハビリが必要な場合があります。訪問リハビリテーションはそのために大変有効なサービスです。
◆訪問リハビリテーションとは
介護保険を利用して、
- ご自宅でのリハビリを必要とされる方
- 通院が難しい方
を対象に行います。住み慣れた地域で安心して日常生活が送れるよう、リハビリの専門家(理学療法士・作業療法士)がご自宅へお伺いし、リハビリを行います。利用者さまだけでなく、ご家族など周りの人にとって楽な介助方法や、困っていることに対して具体的にアドバイスします。
※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。
このように訪問リハビリとは、実際の生活の場で、日常生活に直結したリハビリを行い、生き生きしたその人らしい生活をサポートします。
訪問リハビリと通所リハビリの違いは以下のとおりです。
◆訪問リハビリのご利用について
対象となる方は、「日常生活動作や介助方法などに不自由がある、不安のある方」で、「介護認定を受けておられる方、医療保険でリハビリを受けておられない方」です。医療保険と介護保険の併用は、原則できません。
<ご利用方法>
- まずは担当ケアマネジャーにご相談ください。
- 病院のリハビリテーション医の診療を受けていただきます。
- 医師の指示書が発行されたのちに、利用者さまのケアプランに訪問リハビリテーションが組み込まれます。
- 後日、初回面談を行い、利用者さまとの同意・契約のもと、サービスを開始します。
家の中は危険がいっぱいです。床に置かれたものを踏んで転倒、洗濯物を干すときにバランスを崩して転倒、脚立から転倒、洗い場の濡れた床で滑って転倒、階段を降りるときに足を踏み外して転倒、カーペットに足をとられて転倒、立ち上がるときにバランスを崩して転倒、小さな段差につまずいて転倒…などなど、転倒の危険が満ちています。
高齢者の転倒の原因は、関節・筋力の低下、バランス能力の低下、神経の働きの低下、視力・聴力の低下、薬の副作用、外的環境などがあります。介護が必要になった原因の10%が骨折・転倒によるものですので、普段からの転倒予防が大切です。いちばんの転倒予防対策は、「転ばない体」+「転ばない環境」です。元気なときから日々、生活の中で準備をしましょう。
◆転ばない体をつくる
「コツコツ貯筋」で転倒予防!下記を実践してみましょう。
- 日常的に運動して習慣化する:
例えば毎日の生活の中で、外出時は階段を利用したり、買い物は徒歩で行く、歯磨きしながら・テレビを見ながらスクワット・かかと上げをする…などの工夫をしましょう。 - 運動+栄養バランスのとれた食事を心がけましょう。
◆簡単な筋トレを紹介
おなかを前に突き出さないように。真っすぐ、天井から引っ張られる感じで行ってください。
◆転ばない環境をつくる
- 階段、玄関、段差、浴室などには手すりを設けましょう。
- 階段、廊下、玄関など、暗くなりがちな場所には明るい照明や足元灯をつけましょう。
- なるべく段差をなくしましょう。
- 部屋は整理整頓をし、床や階段につまづきそうな物を置かないように心掛けましょう。
- すべりやすい靴下・スリッパを履かないようにしましょう。
- 脚立・はしごを使う高所での作業は若い人に頼みましょう。
◆おわりに
いくつになっても自分らしく過ごすために、心と体の健康寿命を延ばすことが大事です。いつまでも自分らしい生活を続けられるように、日頃から積極的に外出して地域の活動に参加したり、地域の人と交流することで、生きがいややりがいを見つけることが大切です!
質疑応答から
Q:滑りやすい靴下は履かないよう言われましたが、足が冷えて困ります。
A : 滑り止めのついたルームシューズを使う方もおられます。手作りの太目の毛糸で編んだ靴下も意外に効果が高いようです。福祉用具の店にも、滑りにくい商品が置いてあります。
Q:訪問マッサージは介護保険で受けられますか?
A :訪問マッサージは、医療保険の適用で、介護保険では受けられません。リハビリについては、医療保険と介護保険の併用はできないと言いましたが、入院から退院への移行期には併用もできます。担当の医師やケアマネジャーに聞いて、最も良い方法を取られたら良いでしょう。
Q:簡単筋トレと呼吸の関係は?
A :息を止めないで行ってください。筋トレの基本は、力がかかるときに息を吐くことですが、リラックスしてやることが大事です。