2015年04月14日

第213回らくわ健康教室「防ごう! 誤嚥性肺炎 〜加齢と嚥下機能〜」

2014年10月17日開催のらくわ健康教室は、「防ごう! 誤嚥(ごえん)性肺炎 〜加齢と嚥下機能〜」と題して、洛和会音羽記念病院 リハビリテーション科 係長で言語聴覚士の竹島 かおり(たけしま かおり)が講演しました。

概要は以下のとおりです。

はじめにブログ用IMG_9971.jpg

私は言語聴覚士として、のどの機能にかかわるリハビリテーション(以下、リハビリ)を担当しています。リハビリの観点から、誤嚥性肺炎の予防に役立つことをお話しします。

肺炎にご注意

肺炎は、日本人の死亡原因の第3位であり、年々、患者数が増加しています。80歳以上の日本人に限れば、死亡原因の第1位です。

※以下の画像は全てクリックすると大きいサイズで見ることができます。

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誤嚥とは・誤嚥性肺炎とは

誤嚥とは、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことです。誤嚥という言葉の認知率は50.7%で、一般には余り知られていません。紛らわしい言葉には「誤飲」がありますが、電池など食べてはいけない物を飲み込んで食道に入れてしまうことです。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液と一緒に口の中の雑菌が肺に入ってしまい、発症する肺炎のことです。

摂食・嚥下とは?

摂食とは、脳が食べ物を認識したあと、口からのど、食道に送り込まれる一連の動作を指します。このうち咀嚼(そしゃく)から飲み込みまでの作業を嚥下(えんげ)と呼びます。

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呼吸と嚥下の関係

呼吸するときには、のどの奥にある喉頭蓋(こうとうがい)が開いていて、鼻と口から気道、肺へと空気が行き来しています。飲み込むときには喉頭蓋が閉じて気道をふさぎ、食道が開きます。それと同時に鼻腔がふさがれて呼吸が一瞬止まります。

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食べることは元気の源!

食べることは、かんで味わう、香りを嗅ぐ、料理を見る、脳を刺激する、飲み込む、消化する、筋肉を使う…と、さまざまな働きがあり、元気の源です。しかし、高齢になると、食に影響を与えるさまざまな変化が現れてきます。
加齢に伴う身体の変化(感覚が鈍くなる、歯が抜ける、唾液が少なくなる、飲み込みの力が弱くなる、消化吸収が悪くなる、筋力・体力の低下、免疫力・抵抗力の低下、関節のこわばりなど)や、生活状況の変化、精神・心理的変化、疾病の程度などが食生活に影響を与えます。

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飲み込み力をチェック

30秒間で、できるだけたくさん唾液を飲み込みましょう! 何回飲み込めたかを数えてください。
                                ↓

  • 3回以上だった方は…問題ありませんひらめき
  • 2回以下だった方は…要注意ですexclamation 気を付けて食事しましょう。

いつまでもおいしく食べていくために 〜誤嚥性肺炎予防〜

誤嚥性肺炎の予防には、加齢による身体機能の低下があることを意識して食事をすることや、口の中をきれいにすること、のどの機能を維持することなどが大切です。
誤嚥は、食事のときだけに起こるわけではありません。睡眠中にも起こります。胃や食道からの逆流により内容物が気道に入ったり、唾液の中のばい菌が肺に入ることでも、誤嚥性肺炎を引き起こします。

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食べる力を保つには

のどの力を付けることで、むせた場合でも、しっかり吐き出せる体にしましょう。

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のどの力を付けよう

のどの力を付けるには次のような方法があります。

  • 声を長く出してみましょう(小さな声を長ーく出す)。
  • 声を大きく出してみましょう(「はっ、はっ」と短く切って)
  • 口腔体操(大きな声で、「ばっ、たっ、かっ」と繰り返して言ってください)

誤嚥性肺炎発症のバランス

誤嚥性肺炎を発症するかどうかは、誤嚥したものの量や内容、呼吸・喀出機能・免疫力や体力のバランス次第です。のどの力を付けることなどにより、誤嚥性肺炎を防ぎましょう。

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誤嚥を防ぐポイント

誤嚥は、食べる際の環境を少し変えるだけで、かなり防げます。以下のことに注意してください。

  • ごくごく飲むより、ごっくんと:
    一口ずつ、ゆっくり飲みましょう。
  • おそばをすするとき:
    ざるそばを食べてむせる人は結構多いです。用心して、ゆっくり食べてください。
  • むせたときは:
    高齢者の場合は、水で流し込むことも、ご飯を丸飲みにすることも良くありません。水は勢いが強いので気道に入ることもあり、ご飯はのどを詰まらせる危険があります。 

防ごう!誤嚥性肺炎

誤嚥=肺炎ではありません。食べ物を飲み込むとき、気道を遮断して飲み込みますが、高齢者は体の複雑な動きについていきにくく、反射が鈍くなっているため、誤嚥する場合があります。水を飲むときも気を付けましょう。
食事をおいしく食べるには、今まで述べたことに注意し、日常的に誤嚥の予防を心掛けることです。食事の場は最高のコミュニケーションの場ですから、これからも、おいしい食事を上手に食べてください。

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質疑応答から

Q:むせたとき、水やご飯を与えるのは良くないそうですが、ではどうしたら良いのですか?
A :しっかりむせてもらい、誤嚥したものを出し切るまで待つことです。これでまず大丈夫です。もし顔が青くなった場合は、窒息の恐れがあるので、かがませておなかをぐっと圧迫することで吐き出させたり、背中をたたいたりします。


ほかのらくわ健康教室の記事はこちら⇒らくわ健康教室 講演録3



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